湊かなえ原作とのことでイヤミスを想像して観たらちょっと違った感じ。廣木監督の演出はややトーンを落としてあって暗く寂しい感じ。これは物語を活かしてあったけど、なんか不穏な空気を纏っていて閉塞感に襲われていた。
母親と娘の関係がそれぞれの視点で描かれている。それは微妙に違ったり大きく歪曲されていたり、正当化されていたりするもの。記憶と願望が混在して人は人生のストーリーを形作っているから。
母に認めてもらいたい、愛されたい、こんなに愛しているのに。なぜ？なぜなの？と正論をかざすことは自分の首を絞めるだけなのに。
わたしもそうやって生きてきたかもしれない。清く正しく、正義を振りかざし、親を尊敬して生きてきた。大人になって色んなことが見えてきて、大きく裏切られることになる。それでも親であり母である。裏切りは大なり小なり永遠に続いていく。褒められたい、愛されたいと思うように努力して、平常心を保っている。
女は母親と娘の2種類いるというセリフ。私には少し違和感だった。依存する女、自立する女、依存させない女、ほっとけない女、無視できる女。母である前にどのタイプなのかで、依存度が変わってくるから。
心の闇を抉られる映画だった。。。
