耶馬英彦

グレイマンの耶馬英彦のレビュー・感想・評価

グレイマン(2022年製作の映画)
3.5
 ロバート・ラドラムやトム・クランシーの小説を読むと、CIAの現場工作員は「エージェント」と呼ばれているようだ。海兵隊の特殊部隊や陸軍のデルタフォースなどからリクルートされ、訓練を受けて現場での諜報活動に当たる。各国語を流暢に話し、ときには外国人になりすます。諜報活動で得た資産によって各地に隠れ家を設けて、武器や現金を隠しておく。接触する人間が敵のエージェントの場合もある。誰も信用できない。

 そういうイメージで鑑賞したのだが、本作品には諜報活動の深みは描かれず、専らバイオレンスに終始している。世界観は続編に期待というところだろうか。

 ライアン・ゴズリングはいつもの感じだったが、クリス・エヴァンスが珍しく悪役をやっているのがなかなかいい。アナ・デ・アルマスは「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」で黒いドレスでマシンガンをぶっ放すシーンが印象的だったが、本作品でもアクションシーンを上手に演じていながらも、キュートさを存分に撒き散らしている。

 ストーリーは割と一本道だが、CIAの上司や、その裏で糸を引く権力者についてはまだ触れられていない。雑魚キャラがたくさん殺される映画で、もしかしたらクリス・エヴァンスのロイド・ハンセンも雑魚キャラのひとりだったのかもしれない。

 ピストルや突撃銃、狙撃銃の他に、グレネードランチャーやグレネード、ロケットランチャーなど、多彩な武器が登場する。使い方もユニークで面白い。流石に予算のある作品だ。
 モヤモヤとしたラストだったので、続編があれば観たいと思う。
耶馬英彦

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