たく

渇水のたくのレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
3.5
『雨が降れば、ぜーんぶ戻ってくる!』
冒頭に妹の女の子が言っていた言葉と、
『太陽も空気もタダなのになんで水だけ金取るんすかね?』と
言っていた磯村勇斗演じる木田という水道局職員の言葉が最後までポイントだったと思う。

純粋に雨乞いをしていたあの子も、最後は少し大人になったように感じた。お父さんの帰りを待って、なかなか帰ってこないお母さんを信じていたけど、最後はきっと現実を受け止めたのだろう。ある意味、この子の成長も本作品には記録されていた。

また、当たり前に思えるものが手に入らない人がいる。もちろん、自らの怠慢でそれを得られなくなる人もいるが、さてこの姉妹はどうか。そう、なんで当たり前の日常ってタダで手に入らないのだろう?と考えさせられた。それは主人公の岩切も同じく。
あと姉妹の母親役の門脇麦が言っていた『水の匂いがする』という意味はなんだったのだろう。その辺は芥川賞原作らしく、色んな捉え方が出来そうな作品だった。

テンポはかなり単調だが、観終わった時には、色々と感じる事があった作品。岩切の最後のあのシーンはちょっとチープに感じたが。
原作は30年くらい前のものでも、不思議と現代に当てはめても何の違和感もなかった。むしろ、これが2020年以降の現実かと。

また、同時期に公開されている『怪物』とも、作風は違うが同じポイントもあり、この比較も勝手ながら面白かった。本当、当たり前の幸せって当たり前でない。

余談だが、ちょいちょい名だたる俳優さんがワンシーンだけ登場していたね。
さらにどうでもいいけど、ジャニーズ所属の俳優さん出演の時、必ず制作とかプロデュースに某おばさんの名前入ってるけど、いつもスクリーンに向かって『オマエ何もしてねえだろwww』と言いたくなる。あれも忖度かね。面倒な事務所だなあ。
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