ハル

ハケンアニメ!のハルのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.0
ご縁があり招待頂き舞台挨拶付きの完成披露上映会にて。
率直にこれは…面白い!!
原作者の辻村深月先生本人が積極的に制作段階から関わったということで、話が深く濃く作り込まれており、アニメの制作現場ってこんな感じなのかと唸らされる空気感。

作中でも触れられるがアニメ・漫画の市場規模は2兆円を超えるとも言われており、日本の文化として最も世界へ誇るべきもの。そのため誰しもが何処かで触れているはずの題材となっていて、普遍的な親近感を感じられる作品に仕上がっていた。

そして、その豊かな世界観を体現している主要キャスト、サブキャストみな素晴らしく良かった。
主演の吉岡里帆は新人監督、斉藤瞳として右往左往しながら疲労困憊の姿を晒し続ける。それでもひたむきに制作することへの意欲を燃やす奮闘ぶり。現実に何処までブラックなのかは定かではないけど、作業量考えると本当にきついんだろうなぁ…と。

一方で、天才ながらどこか脆くも見える王子監督を演じる中村倫也の多彩さも健在。孤独に苦しみ世間とのギャップに怯え、純粋な思いを抱えながら尖ったキャラクターを繊細に表現。
初めて生で拝見したけど、イケメンという以上に圧倒的な優しいオーラに満ちた人。人たらしの天才のように思えてしまう柔らかい印象を抱かせる存在で、人気爆発中なのも納得。(周りにも好きな人が多いんだよね)

またメインの二人を支える尾野真千子、柄本佑の安定感も流石。
役柄もプロデューサーということで立ち位置的にもピッタリ、二人のクリエイターに寄り添い支えている。

さらにもう一点目を奪われたポイントは劇中で実際に作られていくアニメそのもの。瞳と王子両監督の作品をそれぞれ見ていく流れになるが、どちらも甲乙つけがたいクオリティーの高さ。
実際の声優さんも出てくるため燦爛たる魅力を内包しており、普通にオリジナルで出しても人気出そうなレベル。アニメを扱っている作品なので、ここの本気度は観ていても嬉しいし、気持ちも高ぶるよね。

『ハケンアニメ!』は原作者、監督、キャストそれぞれの力が最大限活かされたアニメ監督を題材とした傑作エンターテイメント。
パッと目を引く魅力的な要素が上手く組み合わさっており、多面的な視点で楽しめる映画だった。
タイプとしては『バクマン』が近いかな。
エンドロール後までお楽しみが続くタイプの作品なので、全て終わるまで絶対に席を立たないようお願いします☺️
ハル

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