待望の藤井道人監督の新作。
台湾のカラオケ店でバイトをする18歳のジミー、そこへバックパッカーとして訪れた四歳年上のアミが紡ぐ物語。
劇中では日本の映画や音楽がキーワードになっていて、岩井俊二監督の『Love Letter』を二人で観に行ったり、電車で『Mr.Children』の曲を二人で聴いたり…
日本と台湾、合作ならではの良さが随所に表れていた。
純粋なラブストーリーではなく、過去、現在、未来と続く人生の中で一人の青年が思い出に成長させてもらう構成。
初めて手を繋ぐ時の照れくさい感じ、デート当日の慌てる様子など、エモさとラブコメ要素の融合が秀逸だった。
恋愛要素一辺倒ではないため、ラブストーリーが苦手な方も見やすいはず。
藤井道人監督の作る世界はいつも美しく、儚いもの。
独特の感性がもたらすエッセンスに温かみをしっかり感じられた。
“出逢い”は人を変え、成長させ、挫折からまた一歩踏み出す推進力となる。
振り返る勇気、進む勇気を静かに優しく、諭す、高純度な作品でした。
〜余談〜
映画『Love Letter』のエンドロールが流れはじめた途端、すぐ明かりがついちゃうシーンは新鮮だった。
日本では考えられない一幕、文化の違いに驚き（それともあれはあの映画館だけ？）
映画好きでアニオタの先輩と作品について語り合っていたときにもその話題が出て、やはりその違和感に気付いたようで…
よく、劇場へ足を運ぶ方に注目してほしいポイントでした。
