こなつ

ハケンアニメ!のこなつのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.0
今回のアカデミー賞作品賞にノミネートされている作品の中で、唯一観ていなかったので発表前にと鑑賞した。辻村深月さんの原作は未読。

アニメは、苦手な分野です。全然観ないわけではなく、宮崎駿監督や新海誠監督の作品などは好きで観ているのですが、アニメファンの人達の話には全く付いていけないほど知識がありません。

だからこの作品の「ハケンアニメ」はてっきり「派遣アニメ」だと思っていて、「覇権アニメ」という言葉があるのを今回初めて知りました。

そんな程度の私が偉そうなことは言えませんが、この作品は素晴らしかった。

アニメ業界だけに限らず、クリエイター達の世界が如何に過酷か、だからこそチームワークでやり遂げた時の達成感が如何に素晴らしいものか、頑張っている人達を見るとたとえ作品の中の人達でも心から応援したくなるそんな気持ちにさせてくれた。

地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人監督・斉藤瞳(吉岡里帆)が、憧れの天才監督・王子千晴(中村倫也)と対決して、アニメ界の頂点を目指して奮闘する物語。

八年ぶりの監督復帰作に大勝負をかけてくる王子千晴監督には、王子の才能に惚れ込みフルサポートするやり手のプロデューサー・有村香屋子(尾野真千子)が付いている。

業界大手トウケイ動画の新人監督である斉藤瞳には、数字を稼ぐことしか頭にないくせ者の敏腕プロデューサー・行城理(柄本佑)が付いている。個性的なスタッフや声優達を巻き込んで、勝負に出る瞳。

日曜夕方のアニメ枠の視聴率勝負の物語。

王子千晴作品 「運命戦線リデルライト」
斉藤瞳作品 「サウンドバンク」

それぞれの作品を引っ提げて、果たして勝負の行方はどうなるのか。

映画作品の中で、それぞれのアニメ作品が観られるというのも珍しい。ゼロから何かを作り上げていく人々の葛藤を通して、こうやってひとつの作品、アニメが出来ていくのだという過程を知ることが出来てとても新鮮だった。
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