Jun潤

チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしいのJun潤のレビュー・感想・評価

3.2
2022.04.20

ドラマ版視聴済作品。
BLものは積極的に見ていたわけではないですが、「30歳まで童貞だと魔法使いになれる」という都市伝説を真面目に映像化した作品として第一話放送時から注目していました。
その作品が今回劇場版化ということで鑑賞です。

かつて、30歳まで童貞を貫き、「人の心を読む」という魔法が使えるようになった安達。
安達が仕事のできる同期・黒沢に触れた時、彼の自分に対する気持ちを知る。
その後紆余曲折を経て彼らは晴れて恋人同士になった。
御伽噺だと魔法が解けて物語は終わるはずだが、彼らの人生には数々の受難が待ち受けていて…!?

ドラマ版のやらしくもなく理不尽でもない、ただひたすらに優しい雰囲気がそのまま劇場版になったような感じでした。

なにか象徴的な出来事が起こるでもなく、ゲイカップルも男女の夫婦と同じように、お互いの両親に挨拶をして、結婚式を挙げて、周囲の人に祝福される、そんな一般化された幸せを、どちらかというとマイノリティ側が享受することができる多幸感に溢れた作品です。

印象的だったのはやはりカメラワークと画角。
過剰な演技ではなく、側から見ると自然体に近いように見える柔らかな演技のまま、じっくりゆっくり対話をする。
そうすることで、分かり合い、受け入れてもらうことができる。
そんな人の優しさが現れた画作りだったと思います。

御伽噺は魔法が解けて物語が終わるかもしれないけれど、人生はそれでも続いていく。
魔法が解けても、幸せになっても、人生は死ぬまで続いていく。
この先も2人は壁にぶつかるかもしれない、でもこの2人ならきっと大丈夫。
そう安心させてくれるようなキャラクターが、ドラマ版と今作で仕上がりきったなと感じました。
Jun潤

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