Jun潤

冬薔薇のJun潤のレビュー・感想・評価

冬薔薇(2022年製作の映画)
3.3
2022.06.08

伊藤健太郎主演作品。
色々あった伊藤くんですが、この度無事?復帰、新たな一歩を踏み出してくれそうな予感に胸を膨らませ、今回鑑賞です。

阪本順治の作品は興味がありつつも手が出ておらず、今回初鑑賞です。

とある港町でガット船の船長をしている渡口義一。
その息子の淳は、専門学校生ながら全く登校しておらず、悪い輩とつるんでは日銭をせびる生活をしていた。
ある日の喧嘩の最中に膝を殴られ、療養のために実家へ帰省する。
そこで触れた両親の愛情から、悪事から足を洗って真っ当に生きることを決意。
しかし、自身の過去も振り返らず、見たくないものを見ないようにしていた淳の人生の先には、相応の結末しか待っていなかった。

阪本監督は主役の伊藤健太郎に当て書きして脚本を執筆。
だからなのか、キャラクターも伊藤健太郎に寄っていて、背景やら行動原理やらが一般化された“ろくでなし”に見せようとしたことが明らかなのもあって、映画らしい登場人物に仕上がっていなかった印象が強め。

そんな淳を動かしていたからか、大きな事件は起きるけれどそこに至るまでのフラストレーションも薄く、作品的には中途半端なテンションのまま、淳の行く末と両親の愛情が描かれていました。

両親の愛情については、母の「あんた、背筋がゾッとしたことなんてないでしょ?」に対し、淳は確かに過去を振り返っておらず、後悔も反省もないから未来に目を向けられていないことが表現されていました。
また、父の、素直になれず純粋だけれど不器用な愛情も、歪んだ形で伝わってしまった。
どこで何をやっているのか、知る術もないし知ろうともしてないけれどきっとどこかで働いている、はず、というのが歪曲したまま物語が着地してしまった印象です。
Jun潤

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