なお

RRRのなおのネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

"力こそパワー"

Twitterなどの各種SNSにて話題超沸騰中の本作をようやく鑑賞。
インド映画を見るのはもういつぶりだろう。
数年前に見た『きっと、うまくいく』が最後だったかな…

日本では『バーフバリ』で有名なS・S・ラージャマウリ監督の最新作。
監督の過去作を予習しておく必要はないが、監督のお顔は覚えた上で見に行った方がいいかもしれない。

✏️3時間越えの映画が持つ「魅力」
「インド映画」に対しての認識というかイメージというか、そういうものを全て覆された濃密すぎる3時間を堪能。

「3時間」という時間を、人に退屈させずに過ごさせるってどう考えてもやっぱりスゴいことだ。

✏️友情・努力・勝利
やはり最初に書きたいのはビームとラーマの見るもまぶしい友情物語。
イギリス政府のおエライさんにさらわれた妹を助けるために奔走するビームと、そんなイギリス政府お抱えの公安組織の一員であるラーマ。

本来なら敵対関係にある2人は、とある事件をきっかけに親交を深めすっかり親友に。
彫りの深いソース顔をした屈強な男2名が、まるで青春を謳歌する男子高校生のようにはじける笑顔でインドの地を駆けまわる姿を見るとなぜだかこちらもニンマリと笑顔を浮かべたくなる。

妹を探すビームに訪れる、イギリス政府の白人女性・ジェニファーとの身分違いの恋。

ビームの存在を認識させるためジェニファーの乗る車をワザとパンクさせたり、ジェニファーが見守る中繰り広げられるダンスバトルにワザと負けてみたり…
英語が話せるラーマが、恋のキューピッドよろしくビームの恋を全面サポートする様もたいへん良かった。

劇中、ビームとラーマ両方に命を脅かす危機が訪れる。
そんな人生最大のピンチにおいても、ふたりは互いに手を取り合い思い合い、敵味方の壁を乗り越えて真に倒すべき敵を打倒する展開は王道ながら圧巻。

太宰治の「走れメロス」におけるメロスとセリヌンティウスの友情関係にも通ずる、損得勘定や人間のずる賢い打算を抜きにしたビームとラーマの友情がとても美しく映った。

✏️スパイス
アクション・ムービーとしての完成度も高い。
プロレスラーのような体格をしたビームとラーマが己の体ひとつで汗と血を飛び散らせ戦うシーンは、見ているこちらも思わず血沸き肉躍る。

イギリス政府の兵士たちとの戦闘シーン。
まるで鬼神のごとき出で立ちと躍動感で戦場を駆け、多勢に無勢をものともせず敵を圧倒する様はなんとも痛快。

ちなみにこのラーマとビームの2名は、インド独立運動の英雄とも言われる実在の人物がモデルになっている。
物語の舞台は、インドがまだイギリスの植民地だった時代。

本作でも、インド人に対する壮絶な迫害と差別、そして暴力が容赦なく描かれている。
そんな苦難の時代から脱するために蜂起した英雄をモデルにしているなら、ビームとラーマのこの活躍も頷けるだろう。

各種CG技術も素晴らしく、特に劇中に登場する動物たちの活躍は実写と言われても納得するレベルで違和感がない。

✏️ナートゥをご存知か?
インド映画の醍醐味とも言えるダンスシーンも当然健在。
特に前述のジェニファーが見守る中で行われたダンスバトルで用いられた「ナートゥ・ナートゥ」はこれまた圧巻の一言。

「これ早送りじゃないの…?」と目を疑いたくなるキレッキレの高速ダンスはシンクロ率1000%。

エンディング・テーマとして流れる「エッタラ・ジェンダ」でも陽気な雰囲気でインド映画のエンディングにふさわしい。
(スタッフロールが横に小さく流れるエンディングを初めて見た)

☑️まとめ
他にも書きたいことはたくさんあるが、ひとまずここまで。
とにかく3時間という時間があっという間の、なんならインターバル…もといINTERRRVALなど一切不要。

ビームとラーマの甘酸っぱい友情と恋。
思わず血がたぎるアクションとダンス。
「甘味」と「辛味」が見事に融合した、奇跡のようなインド映画。

最後には無事イギリス政府を転覆させ、一件落着なビームとラーマたち。
これが実際のことならかなりの国際問題になりそうだが、大丈夫。
なぜなら、インドにはビームとラーマがいるのだから…

🎬2022年鑑賞数:107(47)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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