なお

リンダはチキンがたべたい!のなおのレビュー・感想・評価

3.8
とってもカラフルでポップな予告編に惹かれ鑑賞。
カンヌを始めとする様々な映画祭で好評を受けたフランスのアニメ映画。

監督・脚本を務めたキアラ・マルタとセバスチャン・ローデンバックは夫婦であり、制作上のパートナーでもある。
また本作の作画は制作費を安く抑えたいというねらいから、ローデンバックがたったひとりで全編を手がけたというのだから驚き。

✏️小指は約束のために
絵の具を原色のままキャンバスに描いたような、まるで絵本のような世界観で描かれるドタバタ劇が楽しい作品。

主人公の女の子・リンダを始めとする登場人物たちのデザインは実に可愛らしく、そんなキャラクターたちがまるで『トムとジェリー』のようなカートゥーンな世界観の中ドタバタ動き回るので、飽きる時間帯が少ないのは良かった。

一見お気楽な作品のようだが、リンダとその母・ポレットは優しくて料理が得意だった父(夫)を数年前に亡くしている。
この設定が本作の肝。

かつて父が作ってくれたパプリカ・チキンを食べたい!(題名のチキンが食べたいとは正しくこのこと)というリンダの要望は、母ポレットだけでなくリンダが住む団地、また街全体を巻き込んだ大騒動に発展していく。
料理があまり得意でなく、どちらかといえば不器用なポレットがリンダのために頑張るシーンとか、家族愛に思わずホロリ…とするシーンもある。

ミュージカル的な歌謡シーンもあったりして、親子で見てもきっと楽しい作品になるだろう。
オチも世界観にあった優しい内容であり、心ほっこりとさせられる。

ただ、「アニメ作品だから」という理屈では片づけがたいレベルで倫理観と常識的観念が地に落ちているキャラが多数登場するので、このへんが苦手な人、現実的な世界観を好む人は受け付けないかも…
あと、髪を解いて以降のポレットが妙に色っぽく描かれている、というかそう見えてしまうのはなぜだろう。

☑️まとめ
本作は文科省が「家庭向き映画」としてのお墨付きを与えているだけあり、全年齢向け、特にリンダと同じ年ごろのお子さんをお持ちのご家庭にぜひ鑑賞をオススメしたい作品。
(件の倫理観が欠如しているシーンは親御さんのフォロー推奨だろうが)

余談だが、フランス語ってこういうアニメ作品との相性が良い気がするので不思議に思った。
実写映画でフランス語を聞いてるとなぜだか眠くて仕方がなくなるので…

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★☆☆

🎬2024年鑑賞数:31(16)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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