eri

RRRのeriのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
5.0
まずは関係各位に御礼を述べたい。
日本で公開してくれてありがとうございます。
これほどの面白い作品を日本語字幕で浴び、来日した監督や役者さんたちに手を振り、そして同好の士と語り合うことができるとは。
インド映画好きとしてこれ以上の幸せはありません。

英国政府側の警察官・ラーマと、英国人に連れ去られた、部族の娘を救いに来た"羊飼い"・ビーム。
二人の道が重なり、意気投合し、そして立場ゆえに道を違える…
ラーマとビームが手を携えたり切ったりしながら、それぞれの目的を叶える物語です。(単純化が難しいストーリーなので、個人の主観ということでひとつ)

「兄貴」「親友」と互いを呼びあう彼らが道を違える根底には、宗主国としてのイギリスの存在があります。
ナートゥ・ナートゥ等の絶品ダンスや歌も入り、楽しく観られる本作ではありますが、
自国が植民地になるとどうなるのか、という点にもぜひ着目していただけたらと思います。
踏みつけにされ続けた人間たちが、自主性を取り戻すことを諦めずに、ついに牙を剥いた瞬間の物語でもあると感じました。

うまくオブラートに包んでいますが、ナショナリズムに溢れた作品です。
悪役としてのイギリスの存在なしには語れないストーリーですが、イギリス人みんな憎い!という雰囲気や言動はありません。悪いイギリス人がいれば、良いイギリス人もいます。
インド以外の国に輸出することも視野にいれているからか、その辺のバランス感覚も優れていました。

3時間10分と非常に長い上映時間ですが、中弛みなく進むので、ずっと飽きずに観ていられる作品です。
世界観がよくわからない序盤は、映画の中で見出しが振られるので、「これについての話なのね」と納得して視聴を続けられます。
主要キャラの説明パートが終わると、まさに怒涛の展開。

濁流に飲まれるような濃厚絶品没入体験を全身で楽しんでください。体力持ってかれますので、観終わったらカロリー補給を忘れずに。
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