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RRRのDのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
3.6
予約の場合は強制的にコース料理を選択せざるを得なくなるレストランに行ったことがある。一人一枚ピザを食わされ、その他にもメインディッシュ、前菜、サラダ、デザート、お酒と、しこたま食わされる。胃に穴が空くほど満腹になったが、美味しい。こっちが選ぶのではなく、ただ出された飯を店側が提供するのに従って消費していく。

これはそういう映画だった。ストーリーやメッセージの考察なんかしなくていいから、丁寧な説明と共に提供されたものをただ食らえ。楽しければそれでよい。楽しみ方と楽しむ場所はあちらが用意してくれる、3時間のエンタメフルコース映画。

ラーマーヤナの主人公から名前を取ってきた主役はやはり弓使い。許嫁はシータ。

もう一人の主役はマハーヴァーラタのビーマ。豪快な力で暴れ回る。

もうわかりやすすぎるほどヒンドゥー教をからめて正義を描く。ティプースルタンの虎だっけか、大英帝国の軍人の首を虎が噛み殺すようなおもちゃもインドにはあるんじゃなかったか。

まあとにかく語ることはなにもなくて、3時間のエンタメフルコースをただ楽しむ、そんな映画だった。ジェフベックと高橋幸宏が立て続けに亡くなり、心が辛かったが、笑って泣けた。

あぁ、それから、この映画で活躍する白人サマは一人もいない。強いやつもひとりも出てこない。大英帝国の連中はみんなクズで弱くて腰抜けで、そのくせ偉そう。全員ちゃんと成敗される。しかもあっさりと。これは実はとても勇気がある演出だと思う。万歳。
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