ユーライ

ヘルドッグスのユーライのレビュー・感想・評価

ヘルドッグス(2022年製作の映画)
4.0
久々のモード全開かと期待した。別に日本映画の革命でも何でもないいつもの原田眞人。宣伝の雰囲気から邦画が横文字でノワールと謳って見せる時特有の痛々しさが散見されるが、それは邦画の問題ではなく原田眞人の問題である。どいつもこいつも海外小説を直訳したようなバタくさい台詞しか喋りやがらない。チャカチャカしたカッティングと意味不明のディティールは平常運転にしても、やたら広かったり薄暗いロケーションの切り取り方が単純に画として貧相に見えるのも相まって、そもそもどういうお話だったのか、メインであるはずの潜入捜査ものの見取り図がボヤけていくのは問題。編集段階で公開されたような統一感の欠如といった悪い面が目立つ。格好良さが目減りしているのは致命的。一警官が闇落ちしただけであんな無頼アウトローになる説得力や罪悪感を抱いている葛藤も伝わってこない、無国籍ハードボイルドをやりたい割には現代日本として特定出来る場所を選んでいるのが謎。リアリティラインが定まっていない印象を受ける。ラストの何かあと一言言い終わる前に切る感覚が『KAMIKAZE TAXI』。予想を超えない食い足らなさが残った。
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