ユーライ

Kids Return キッズ・リターンのユーライのレビュー・感想・評価

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)
5.0
再見。まだ映画を観始めて間もない頃『アウトレイジ』からフィルモグラフィーを遡行した記憶がある。ラストシーンが持つ、良いとも悪いとも割り切れない複雑なニュアンスには「映画ってこういうことも出来るんだ」と素朴に感動していた。その衝撃は未だ色褪せていない。一応。以降、様々な青春映画に触れてから改めて観返すと、気に食わない部分も出て来る。芸能人・北野武が売り出す「イノセント」な一面がどうにも欺瞞臭く感じてあと一歩のところで乗り切れない。非情な世界を知り尽くしている癖に、いい人ぶって純真を気取っている様が何か恥ずかしい。ジムがあんな素行に問題のある男を放置しておくのか、ヤクザの世界であんな簡単に成り上がれるのかといった悪い意味で漫画になっている都合のいい作劇が鼻に付く。久石譲の劇伴が大分悪さをしているのは明らか。引き算で成り立つ北野演出に対してとにかく過剰で鬱陶しいんだ。早い話があざとい。そしてちゃっかり成功させてる。それでも例の台詞があるだけで青春映画史に永久に記憶されていいし、やっぱり名作だと思う。悔しいけれど……。
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