初・佐藤寿保。原題『腐った街』。濡れ場を除けば1時間を切るタイトな尺で監督のヤりたい表現を押し通す胆力に感心した。ガスマスク、セルフなドラレコといった小道具によって映画がグッと豊かに。常軌を逸したゲリラ撮影による終盤の飛躍で「時代を撃つ」ことにまんまと成功している。80年代の暗部と向き合っていかにファッキンクレイジーな時代であったか描く視点。フィルム撮りのせいか知らんけど、地を這うような低予算エロ映画の癖にルックが全然安っぽくない。同年代の邦画と比べて見劣りしていない。ポルノとしてもちゃんと「実用性」のある使用だ。劇映画として観ると例によってさっさと切れよとしか思えないが。ダーティ・ハードボイルドな佇まいがイカす主演の野仲功(現・イサオ)、調べると現役で『踊る』等にも出演しているらしいので驚いた。ちゃんと刺されるのも○。ポルノとはいえレイプ魔には天罰を下す良心。
