Jun潤

名探偵コナン ハロウィンの花嫁のJun潤のレビュー・感想・評価

3.4
2022.04.15

毎年恒例になりつつある劇場版コナン。
今年の題材は安室透の警察学校時代の同期ということで食指は鈍りましたが、主題歌がBUMPということで俄然鑑賞モードです。
脚本は『から紅の恋歌』『紺青の拳』大倉崇裕、監督は『名探偵コナン』シリーズ初参加の満仲勧。

渋谷で結婚式を開く一組のカップル、それは高木刑事と佐藤刑事だった。
突如現れた暴漢から彼らを守る警察官たちと毛利のおっちゃん。
実は目暮警部の同期で結婚を控えた村中警視正が何者かの脅迫を受けたため、その警護訓練として催されていたのだった。
その時、かつて捜査一課の松田刑事が殉職した事件の犯人が再び現れた際にも見えた死神の姿を、高木刑事の背後に見る佐藤刑事。
後日、警護について警視庁へ向かうおっちゃんと蘭に同行したコナン達少年探偵団は、謎の外人の爆発に巻き込まれてしまう。
爆発の衝撃で車道へ投げ出された灰原を助けるために重症を負ったおっちゃん、そして被害者の遺品からは松田刑事の名刺が発見される。
松田刑事が捜査一課に所属した1週間共にいた佐藤刑事は、当時の記憶を振り返る。
一方、警察学校時代の同期、萩原研二と松田刑事を死に追いやった爆弾犯が脱獄し、彼を追跡していた公安の安室透こと降谷零は、目の前で爆弾犯が爆死し、謎の人物に首輪爆弾を取り付けられてしまう。
身動きが取れなくなった降谷は、コナンに協力を仰ぐ。
コナンは降谷の部下・風見らの協力を得ながら捜査を進めていくが、その行手を謎の集団や新たに現れた爆弾犯の影が阻む。
果たして犯人の狙いとは、そしてコナンは事件を阻止し、犯人を捕まえることができるのかー。

んー、これは、、難しいですね…。
珍しく全体的にコメディタッチな描写も多く、細かいことを気にさせない姿勢。
さらりと流す警察官の多忙っぷりや麻酔の効かないおっちゃん、新一との関係を疑う蘭や博士の革命レベルの発明に唐突なダジャレクイズなどなど、気を衒いつつ王道は外してませんでした。

そして警察学校組や公安、捜査一課たちに少年探偵団、ゲストキャラと、登場人物多めなことの対策用か早々におっちゃんは退場、蘭もその見舞いでヒロイン要素は薄め。
そのためか捜査一課内の公式カップルを推しに推す展開。
白鳥警部と先生のような細かいところからラストの高木&佐藤の濃いめのキスなど、カプ厨の皆さんにはたまらないでしょうね。

さらに安室のもう一つの顔・バーボンと、同じく黒の組織に潜入していた公安警察でスコッチこと安室の同期・諸伏も関わってくるとなると、あまり深いところまで突っ込めない構成。
それも物語を無理矢理締めることと村中警視正の有能ムーブで有耶無耶に。
あとはすでに殉職した刑事達にはいくらでも設定を後付けできるのは、劇場版とスピンオフで食い繋ごうとしてる現在のコナンには好都合ですね。
時代の都合で松田刑事の携帯がスマホにぇ…。

個人的に今作で気になったのは事件の黒幕であるプラーミャですね。
往年の劇場版コナンには、動機に同情の余地があったり、同情の余地がなくても独特の美学を持っていて魅力を発揮する犯人が不可欠でしたが、今作のプラーミャの正体や動機、こだわりについてはなんとなく薄味…。
ラストの展開的にももっと被害者遺族グループの掘り下げに時間を割けばよかったものを、それもなんだか唐突感が強め。

作画については群衆のCGやヘリ機内での戦闘、プラーミャやエレニカなどの凄みのある表情と、なんでそこ?となるような箇所で力を発揮。
もっと違うところに割けよと思いつつも、全体的には締まりが効いていたので良しとしましょう。

演技についてはやっぱりゲスト声優の白石麻衣ですかね…、またおま。
キャスト解禁の時点で嫌な予感はありましたが、どうしてよりによって今作のキモみたいなところに起用してしまうのか…客寄せ要因ならもっとチョイ役でも…ボソッ。

最後は今作を観ることにした最大の要因、主題歌。
BUMPファンとしてバンドとリスナーの真ん中にいるような曲の感じで、ライブで聞くとまた違った印象になりそうな予感。
そして作品の主題歌として聞くと、佐藤刑事と松田刑事、安室と同期、被害者とその遺族のようにもう二度と会えない人のことを想う曲でもあり、コナンと蘭のようにいつかまた会えることへの希望を歌った曲のようで、今作だけでなく『名探偵コナン』を主題にした曲として大満足ですね。

来年の劇場版のヒントは海中とジンニキ。
原作の進み具合的にあの方やラムにも言及しそうですが、数年前の盛大な予告詐欺だけないことを祈ります。
Jun潤

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