SANKOU

ダイ・ハードのSANKOUのネタバレレビュー・内容・結末

ダイ・ハード(1988年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

アクションシーンの派手さと、ブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンというタフガイなキャラクターの魅力もさることながら、観る者を一瞬で物語に引き込むシナリオの巧妙さにも感心させられる。 
クリスマスイブに別居中の夫婦が高層ビルのパーティーで再会する。
夫ジョンはニューヨーク市警、妻ホリーはそのビルを所有する一流企業の重役。
ホリーはマクレーン性ではなく旧姓を名乗っており、しかもエリスという軽薄な男が明らかに彼女に好意を持っている。
そのためにジョンとホリーは打ち解けるどころか、激しい口論をしてしまう。
そんな中、突如武装集団が現れパーティー会場を占拠。
集まったパーティー客は人質に取られてしまう。
しかし会場を離れていたジョン一人だけはその難を逃れる。
タンクトップ姿に裸足という何とも頼りない姿で彼は13人のテロリストたちに立ち向かうことになる。
初めは目の前で人質が殺される姿を見ても逃げることしか出来ず、火災報知器を作動させて警察を呼ぶことしか出来なかったジョンが、腹をくくってテロリストたちを一人ずつ始末していく様はかなりスリリング。
しかし人質の命運をかけて孤独に闘い続ける彼に助け舟は来ない。
唯一、彼と最初にコンタクトを取った巡査部長のパウエルだけは正体を明かせないジョンを全面的に支持するが、ビルを包囲するロス市警の責任者は完全にジョンを邪魔者扱いする。
内にも外にも味方のいないジョンの前には、次々と障害が立ちはだかる。
軽薄なエリスはテロリストと優位に交渉を進めようとして、ジョンの正体を明かしてしまい、結果的に殺される。
手柄を立てたいテレビリポーターのリチャードは、ホリーの家に押し込み子どもたちにインタビューをしたために、ジョンとホリーの関係が明かされてしまう。
マニュアル通りに事件を解決しようとするFBIもまた、テロリストの思惑通りに動いてしまい、結果的にジョンを窮地に陥れてしまう。
正直、警察側があまりにも無能すぎて失笑してしまうが、これも物語を面白くするためのスパイスだ。
そしてこの作品の魅力はジョンだけでなく、アラン・リックマン演じるテロリストの首謀者ハンスにもある。
どことなく緩慢さを思わせる喋り方が印象的だが、それがかえって不気味で恐ろしい。
そして知的でクールなのに、どことなく抜けている感じが悪役ながら憎めない。
彼らの計画は穴だらけに思えるのだが、そんなことを感じさせないくらいに、アクションシーンが面白く、また目まぐるしい展開に引き込まれてしまう。
最後はこの災難もジョンとホリーを結びつけるためのお膳立てであったかのようなハッピーエンドも清々しい。
この後も次々と続編が作られ、ジョンの不運さと不死身さを思い知らされることになるのだが、やはり物語の面白さもアクションシーンのインパクトもこの作品が一番だ。
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