Frengers

百花のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

百花(2022年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

邦画の中ではかなり挑戦的な作品だったのでは?イニャリトゥの様な長回しとケネス・ロナーガンの様な編集が同居しているという意味で。90s~00sに未だ引きずられていると日本の作品に感じている人間としてはかなり頑張っていたと思う。ただ長回しとフラッシュバックは水と油。時間を繋ぐか切断するかがかなり曖昧で、しかも現代であれ過去であれジャンプカットでつなぐ瞬間も多いので困惑する。そしてフィックスのカメラでしっかりとした画を撮れないのはなかなかに悩ましい。長回しにおける不必要なカメラワーク(スーパーにおける子供を注意する際のパンとか、震災時の過度なアップとか)も多い。しかし、段ボールからバッハの楽譜を見つけ下がったカメラに初めて表情が映される瞬間の様なカメラワークと動きの呼吸が収まった瞬間もある。徐々に表情を変えていく顔と音楽の変調が「。変わらないもの」を映し続けるAIとの差異を強調したりする。
2010sを感じさせる映画としては破格の冒険作。でも題材も近い『ファーザー』の様な洗練と反復には及ばない。「今」の映画はもう少し先にある。
Frengers

Frengers