疾患

百花の疾患のレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
4.2
実家に帰る新幹線の中で観た。
映画は好きなのだけれど、気持ちの整理というか何というか観たものの消化が終わらないと次へ進めない。そんなことを言い訳に数ヶ月に一本のペースでしか観ていない私は映画好きとは言えないのだろう。

そんな私にとって、帰省という行為は映画を観る絶好のチャンスなのである。飛行機・新幹線を乗り継ぎようやく着くのだから。
陽射しが傾き容赦無く照り付けるが、カーテンは前の座席の方の顔もとにあり閉められない。照り付ける冬の西日の中で観た。

違和感を感じながらもストーリーは進んでいく。わかりやすさは無いかもしれない。記憶を失う母と、失った何かを求める息子はまるで私の母と祖母のようで、会う前から何か身構えてしまいそうであった。
腰が90°に曲がった祖母と、皺が増えた母を横目に茶菓子を流し込み千秋楽に見入っているフリをした。
自分の無力さが嫌で翌日も祖母の家に行き、冷たい廊下にカーペットを敷いた。私にはそんな事しかできないが、そんな事がしたくなる作品でした。ありがとうございます。
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