やす

百花のやすのネタバレレビュー・内容・結末

百花(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

認知症をテーマにしているので、重いのは覚悟してたけど、認知症だけじゃなく母から受けた心の傷を抱え続けている息子の話もあり、二重に重い。

原田美枝子は『愛を乞うひと』で母から心の傷を受け、母の愛を乞い続けた娘を演じ、
今回は息子に心の傷を与えてしまった母親を演じている。

忘れていく母と、忘れられない息子の対比がさらに物悲しさを際立たせてました。

息子の妻が、“母親だって完璧な人間じゃない”というようなセリフを言っていて、ちょっと説得力を感じてしまいました。。
妻には、母としての気持ちと女性としての気持ちが理解できている。

感情表現が控えめな菅田将暉と、愛情豊かだけど、不安定な母親を演じていた原田美枝子、二人の演技がとても良かったです。

何より、半分の花火と一輪挿しの意味がラストに分かるシーン。
忘れたのは母ではなく、自分だったんだと、
母とのかけがえのない時間が甦る辺りは、込み上げてくるものがあり、
ここだけで、重苦しさが浄化されて、この映画を見て良かったと思えました。
やす

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