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VORTEX ヴォルテックスのながののネタバレレビュー・内容・結末

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

ヴォルテックス、東京で上映が途絶える前に駆け込みで観れた。
劇中しきりに語られる「人生は夢の中の夢」という言葉や、「映画は夢」という論説。この映画の場合、まさに悪夢中の悪夢でしかなかった。絶望的すぎる。いやぁ重い。
老老介護中の夫婦、認知症の妻と心臓病の夫がメイン。アンソニー・ホプキンスの「ファーザー」は認知症の疑似体験映画でしたが、今作はとにかく中立な立場から、夫婦間(家族間)に流れる共通の時間軸を描いていまして、その象徴がスプリットスクリーン。左右画面に別れ、それぞれカメラは同時刻の夫と妻を追います。特に息を呑んだのが、夫がシャワーを浴びている間に、妻が夫の書斎の机の上にある原稿(大切な仕事道具)一式をビリビリに破いてトイレに流し、絶望の時間が流れるシーン。あそこは本当に震えた。
オープニングでスタッフロールを全消化して、ラストfin.だけで呆気なく終わらせる潔さは、この映画にピッタリすぎて…。フランソワーズ・アルディの「バラのほほえみ」はPVのような本人映像だったとは、これもあまりにマッチしすぎていた。
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