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屋根裏のラジャーのグリーフのレビュー・感想・評価

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
4.0
ドルビーシネマで鑑賞。原作未読です(というか原作があることを知らなかった)。

スタジオポノックの長編1作目『メアリと魔女の花』がそこまで刺さらなかったので、『ウィッシュ』のついでくらいの感覚で鑑賞したら、予想を遥かに超えて素晴らしかった!

いわゆるイマジナリーフレンドである『イマジナリ』には、子供から忘れられてしまった時に消えてしまう以外にもう一つの道があって…というお話で、細かい設定は考えるより感じるタイプのお話。
一度は忘れられたイマジナリが一つの場所に集まって、世界の何処かの子供の夢に一時的に登場したり、そのままその子の新しいイマジナリになったりするのは、集合的無意識みたいな発想なのかな?と、個人的には解釈。

イマジナリが生まれる理由、消えてしまう理由、それらの理由への向き合い方を軸にしたドラマがとてもよく出来ていて、劇場で何度も涙ぐんでしまいました。
登場キャラクターも皆魅力的で、敵役のMr.バンティングもイマジナリへの愛ゆえに歪んでしまったのであろうことが窺えると同時に、それはそれとしてブチのめすべきクソ野郎として描写されているのがよくできています。
欲を言えばバンティングのイマジナリについてもっと掘り下げが欲しかったけど、原作では描写されているんだろうか…

ぶっちゃけ同時期に上映されているライバルが強豪揃いすぎてジブリブランドのない本作は苦戦が予想されますが、それらと比べても遜色無い完成度の作品なので、是非多くの人の目に触れてほしいものです。
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