コマミー

リスケのコマミーのレビュー・感想・評価

リスケ(2021年製作の映画)
4.1
【世間が敷く、セクシュアリティーへの壁】


※シネマハウス大塚さんにて行われた、本作と併映「昨日は誰と寝たの」の試写会にて鑑賞。
なお、本作のレビューにて、まず併映「昨日は誰と寝たの」を最初にレビューさせていただきます。上のスコアは、「リスケ」のスコアです。




併映「昨日は誰と寝たの」

スコア→★3.8

"鈴江誉江"監督…千葉県柏市出身の監督で、大学在学中より映画制作をはじめ、2020年にシネマロサさんの新人監督特集にて、最年少で劇場デビューを果たす。"青年期の繊細な感情"を主題に映画制作を続けてきた鈴江監督は、2021年に発表した「リスケ」にて国内映画祭を圧倒させ、8冠も賞に輝いた。現在なんと初の長編作品を準備中との事で、若い監督さんの中で最も期待がかかっている方だ。

そんな監督が、"ワークショップ"にて「リスケ」の後に発表した5分間の短編がこの「昨日は誰と寝たの」だ。

「リスケ」の後に発表した作品とは言え、本作を見た上で「リスケ」を鑑賞すると、"世間へのもどかしさ"が倍増し、感動がます作品になっており、本作の上映は英断だなと感じた。

そして「リスケ」へ



「リスケ」
スコア→上記を確認

さて、本題はこちらの作品。

こちらも短編ながらも、主人公の"ユウスケ"やその"親友でもあり恋人だった""アズサ"の"関係性や気持ち"が、2人の"自然な会話"から溢れ出ており、とても魅入ってしまったし、ユウスケの表情を見るたび、思わず感涙してしまった。日本の短編でここまで観客を引き込むのは本当に凄いし、監督や演者、参加した人々の"覚悟"を感じた。

というのも、鈴江監督は舞台挨拶で喋りながら泣いていたのだ。この国の人々の"セクシュアリティーへのラベリング"への"怒り"が込められた作品だったからだ。ジェンダーやセクシュアリティーには今や様々なラベルが存在しており、それによって解消された事も多いが、悲しい哉…まだその人達を「叩く対象」として見ている人も多い。今も尚、適切にその愛を伝えられず、仕舞い込み、追い詰められて命を絶つ人も多い。そんな世の中への怒りをぶつけるように作られた本作は、とても価値があるものだと思うし、多くの人の救いになるかもしれないと考えると、やはり私は本作を欠かす事はできないなと感じた。

両作共に、悲しみと怒りを込めた凄い短編作品だったし、できれば前進にも繋がる作品にもなってほしいなと感じた。ユウスケとアズサを演じた"野島さんと野川さん"の雰囲気もとても良かったし、何よりあの"長回し"のシーンや結婚式でのユウスケが"アズサの奥さん"に語りかけるシーンは心打たれた。

本当に生涯特別な短編作品となった。

監督の他の作品もできれば見て見たいと感じた。
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