コマミー

貴公子のコマミーのレビュー・感想・評価

貴公子(2023年製作の映画)
3.7
【微笑みの貴公子】


※fans voice様のオンライン試写会での鑑賞






「新しき世界」や「THE WITCH魔女」シリーズで知られる"パク・フンジュン"監督の新作"ノワール"作品だ。
主演はNetflixドラマ「海街チャチャチャ」の"キム・ソンホ"で、本作が映画デビューとなる作品だ。"フィリピン"で病気の母の為に、地下格闘技で生計を立てる青年が、ある日、"身元もわからない父親"の使いだという謎の男「友達」または「貴公子」と呼ばれる男に遭遇し、様々なトラブルに巻き込まれる物語となっている。

まず、本作にはこれは私が初めて知った名なのだが、フィリピン人と韓国人の間に生まれた2世の子の事を「コピノ」というのだが、本作にはまさに"カン・テジュ"演じる"マルコ"という、もう1人の主人公が登場する。パク・フンジュン監督は、兼ねてからこのコピノの事を取り上げた映画を作りたかったらしく、本作においてこのコピノという存在はとても"重要な立ち位置"で活躍したと感じた。
本作で、コピノを"知るきっかけ"になったのは良かった。

肝心の作品自体は、とても"疾走感"があって良かった。それほど中身がある作品ではないのだが、ラストにかけて中でもキム・ソンホの"不穏な笑み"を込めながら襲いかかってくる所は最高だった。そしてとにかく、本作は"血の量"が多い。ラストの"激しい銃撃シーン"はもう際限なくてとにかく大量の血が流れていた。だが、これはノワールならではの要素で、最も韓国らしいなと感じたシーンだった。
ラストといえば、ラストの"ドンデン返し"は、驚いたというより面白かった。なんか今までが緊張感で包まれていたので、なんだか"吹っ切れた感じのラスト"だったなと感じた。貴公子の「ある事実」についての説明もあり、なんだかそんな貴公子にも惹かれてしまった。

パク監督の今までの作品ほどではないが、中々楽しめたノワールだった。緊張感もあり、疾走感もあり、最後は意外と朗らか…凄い韓国らしいエンタメ作品であり、続編があるならば見てみたいなと感じた。
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