Jun潤

恋は光のJun潤のレビュー・感想・評価

恋は光(2022年製作の映画)
3.7
2022.06.27

神尾楓珠主演作品。
原作はだいぶ前に序盤のみ読んだ程度。

妄想家で偏屈で理屈っぽい、面倒臭さマシマシな大学生の西条は、とある女性たちが光って見える謎の体質だった。
光って見える女性の特徴を並べてみると、どうやら恋をしている女性が光って見えているらしい。
そう考えた西条は、恋は自分の視界を邪魔するものでしかないとして人間関係を広げず、幼馴染の北代と常につるんでいた。
そんなある日、西条は落ちていた日記を拾い、校正アルバイトの癖で赤入れしたことをきっかけに東雲と出会う。
東雲に特別な感情を抱いた西条は、北代を通じて彼女に近付き、交換日記をすることになる、テーマは「恋の定義」。
西条と東雲の交換日記から、北代が西条に対して抱き続けてきた想いの暴露、ちゃんとした恋ができず略奪愛ばかりしている宿木の闖入など、壮大な四角関係にまで発展していく。
果たして西条の恋の行方は、そして、そんな「恋の定義」に悩む大学生男女たちが達する答えとはー。

爆イケ神尾楓珠くんいただきましたー!!
いくら地味で陰キャみたっぷりの容姿にしても顔面の強さは隠し切れないんですよ。
でも少ししてやられた感もあり、漫画原作だということと、“神尾楓珠が演じる陰キャ大学生”という違和感で西条のキャラの底上げをしたことを合わせる、そんな漫画キャラと現実のキャストを結びつける新たな手法を垣間見ることができました。

ザ・女性を演じさせてこそさらに輝く馬場ふみか、僕の中では15歳で止まっていた平祐奈ももう23歳、そりゃ大人の女性の魅力が溢れ出ますわ。
そして西野七瀬が元アイドルとしての輝きを薄め、恋愛の対象にならない健気な幼馴染を演じたことで、2時間弱という短い時間内で幸せを願わせるに相応しいキャラクターに仕上がっていました。

どうやら原作とは展開が違うようですが、今作の展開的には特になんの違和感も湧いてこないので、原作ファンの中には怒る人もいるかもしれませんが、映画単体として十分出来が良いのでこれはこれで楽しめるはず。

恋とはなんだ、ああでもないこうでもないと話すだけ話していく話運びには、映画として、ではなく恋愛模様としてもどかしさを感じてしまいますが、しかしそういえば当たり前に使っていたけど、最近は好きや付き合っている状態からスタートする作品を多く観ていたためか、どうなったら恋なのだろうと改めて考える機会なんだとすんなり受け入れられる、言わば0と1の間を埋める作品として一見の価値はありました。

作中でのキャラクターたちの言葉に自分の解釈を足して考えると、「恋は戦い、略奪愛こそ純愛で、誰かに恋をしている、憧れを抱いている女性は輝いて見え、恋は光そのもの」。
それは恋愛だけでなく、仕事や趣味などの人でないもの、もっと言えばどんな形であろうと何かに対して強い感情を向けている人は、輝いて見えるんですよね。
むしろそれが作中の描写として可視化されたことで、改めて自分の恋に対して目を向けることができます。
きっと西条や央が僕を見ると輝いて見えるかも、映画に恋してるから。

終盤で西条がしていた、自分の思いの丈を書くなど、自分の考えてることを全部書くなり叫ぶなり伝えるなりすることって、単純だけど本当に大事で、最もやる意義のある行動の一つなんですよね。
そうして全部吐き出して、全部削ぎ落としきった後に残ったものこそ、本当に大事なこと。

西条は自分にとって本当に大切な人を見つけ、恋の先にある「好き」という感情を抱くことができた。
それは他の人も同じで、恋の先に好きがあり、そのまた先には「愛」もあるのかもしれないけれど、それはまた別のお話……?
Jun潤

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