kamakurah

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのkamakurahのレビュー・感想・評価

3.5
本年度米アカデミー賞最多ノミネート。2時間超のやや長尺ジェットコースター乗車気分で、作品世界に入り込むより、なんで最多なんだろうとずっと考えていた。文字にはできない映画らしい映画であることは確か。この先、どうやら映画の世界でも中軸となっていく様相のマルチバースを明確に具現化した先駆性が面白がられているのか。マトリックスのような思わせぶりな雰囲気を笑い飛ばすように、笑いあり、キューブリックあり、ウォン・カーウァイ風ありの、SFアクションコメディ。根底に移民やLGBTの社会問題がしっかりあってなどという評者も現れそうだが、それもこれも全てごちゃ混ぜにして、古い言い方をするなら、おもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさ。映画的な、あまりに映画的な(これも古くからの常套句)エンターテイメント。それをアメリカ人たちが面白がっているのだとしたら、しばらく前にカメラを止めるな、が大人気になって、フランスでリメイクされるまでになったのと同じような勢い、感じなのかな、と思い至ったことだった。アカデミー賞の結果が興味深く待たれます。
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