koshigoemon

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映画、演劇、落語等のレビューや書評を書いています。第27回東京国際映画祭WOWOW賞選考委員

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幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

3.5

リアリズムの極み。荒井晴彦脚本の重いテーマを説得力豊かに映像化してます。何度も客席から笑い声があがるあたりが実相を描けていることの証。子役が3人とも素晴らしく、三島有紀子監督の演技指導に感服。浅野忠信>>続きを読む

TAP THE LAST SHOW(2017年製作の映画)

3.0

タップダンスシーンは、圧倒感あり。ドラマ部分の冗長さが惜しまれる。一人一人にエピソードを振る作劇作法は理解できるものの、もっと刈り込んで欲しかった。

#TAP

夜明けの祈り(2016年製作の映画)

3.5

評判通りの佳品。115分間、終始静謐感に満ち修道女たちの讃美歌が粛然と通底するにも関わらず、語られる史実に基づく内実は峻烈苛酷。形而上の信仰と、決して受け入れることのできない屈辱的なリアルとの隘路で、>>続きを読む

ありがとう、トニ・エルドマン(2016年製作の映画)

3.5

遅まきながら話題のドイツ映画。160分の長尺ながら、飽きさせない。ほとんどドキュメンタリーを観ているような、リアル感。作品として個人的にどう位置付け、評価すればいいのか、戸惑う独特な印象の一本。主題そ>>続きを読む

ジーサンズ はじめての強盗(2016年製作の映画)

3.5

邦題、もうひと工夫すべき。ハイセンスなコメディ、しかも癒し系。佳品です。音楽が素晴らしい。サントラをすぐにダウンロード。邦画じゃ、こうはならないんだよなぁ、と嘆息しつつ楽しみました。友情にかかるメッセ>>続きを読む

怪物はささやく(2016年製作の映画)

4.0

ファンタジーかつ純文学、素晴らしい仕上がり。人生の奥深い意味を語り、母との死別を受け容れさせるという異色の児童文学を極めて抒情味豊かに映像化した佳品。終盤、客席のあちらこちらですすり泣く様子がうかがわ>>続きを読む

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

4.0

序盤、人道的な展開に納得していたのもつかの間、沖縄戦が舞台と分かって後はずっと苦しいままで、戦闘シーンは観ながら慄えてた。単純素朴に美談とは受け止められない作品。こんなことが二度とはあってはならないと>>続きを読む

セールスマン(2016年製作の映画)

3.0

せっかくの「セールスマンの死」が活かされてないのが誠に残念。観る側の読解力を求めるようなオマージュだとしたら、監督は求め過ぎ、だと思う。事件が起こって警察に駆け込まないイライラをどう回収してくれるのか>>続きを読む

残像(2016年製作の映画)

4.0

昨年10月に90歳で亡くなったアンジェイ・ワイダ監督の遺作。初日初回に岩波ホールで追悼鑑賞。館主岩波律子さんのご挨拶があり、ヤギュロン大学タデウシュ・ルベルスキ教授の前説付き上映。韜晦趣味に向かうこと>>続きを読む

ふたりの旅路(2016年製作の映画)

3.5

孤独、とは本来的には近しい存在をすべて喪うことで生起する境地と漢和辞典で説明されていたはず。桃井かおりが原義通りの孤独を抱えた主人公を繊細に、かつ持ち味十分に演じて、全編静かに胸に沁みいる。夢と現の端>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

4.0

不思議な、けれど観終わって嬉しくなる映画。15歳のジェイミーは監督自身の投影か。とすれば、本作は母への献辞。田舎町の母子とそれを取り巻く3人の、なんということのない一種の成長譚でしかないのに、どんどん>>続きを読む

歓びのトスカーナ(2016年製作の映画)

3.5

イタリアが精神病院を廃止したことについては、数年前に「人生、ここにあり」でもテーマになっていたが、今回、また別角度からいい映画になっているとGWに開催されたイタリア映画祭で話題になっていたので最終試写>>続きを読む

海辺のリア(2017年製作の映画)

3.5

あれこれ言わない。とにかく御歳84の御大仲代達矢の今を体感する一本。黒木華が、小林政広監督の起用に応え、作品に彩りを添えている。リア王の台詞は小田島雄志。全編を貫く仲代達矢の熱量の迸りに圧倒されている>>続きを読む

大統領の陰謀(1976年製作の映画)

3.5

ロシアゲート、国連からの人権にかかる勧告とそれを無視する現況に思うところあって、U-NEXTで約40年ぶりの再鑑賞。
ジャーナリズムは、こうでなくちゃ。読売新聞社会部長に観てもらいたい。出来の如何では
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ローマ法王になる日まで(2015年製作の映画)

3.5

エビータで描かれた後のアルゼンチンが、こんなにも苛烈な軍の独裁体制だったということを不明にして、その詳細を知り得ていなかったことを恥ずかしく思いました。そのなかを高潔に生き抜き、信じるところを貫き通し>>続きを読む

きみの声をとどけたい(2017年製作の映画)

3.0

鎌倉腰越、藤沢江ノ島、片瀬を舞台にしたハートウォーミングアニメ。主役の声優陣にオーディションで選ばれた新星を配し、野沢雅子、三森すずこといったベテラン、人気声優らが脇をかためる魅力的なキャスト。言霊と>>続きを読む

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

4.0

結末が好きです。素晴らしい。ウディ・アレンの達観に敬服させられる佳品。これが人生、心地良さとともにそんな思いを劇中の数々のジャズの洒脱な響きに包まれ、しみじみ実感できる大人の映画です。

#カフェ・ソ
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若者のすべて(1960年製作の映画)

4.0

アラン・ドロン引退ニュースを感慨深く聞いて、ヴィスコンティ1960年の傑作、若者のすべて(4K修復版)を個人的アーカイブとして保存したあった録画で、約40年ぶりに鑑賞。ヴィスコンティの社会性を帯びたリ>>続きを読む

(2017年製作の映画)

4.0

観る者の内側に強く、深く語りかけてくる河瀬直美監督の渾身の一本。河瀬作品ではお決まりの奈良のたたずまいが極めて説得力豊かに、これまで以上に胸に沁みて、かつ必然的に物語と溶け合っている。河瀬監督、永瀬正>>続きを読む

赤毛のアン(2015年製作の映画)

3.0

定番ストーリーながら、コマ切れ感の印象が濃く、物足りない。もう少し長尺にして、タップリと語って欲しかった。憧れのプリンスエドワード島の四季が美しく、これももっと観せて欲しかった。シリーズにして通しで鑑>>続きを読む

夜に生きる(2015年製作の映画)

3.5

ベン・アフレック、乾坤一擲の佳品。よく練られた脚本、見応えある仕上がりになってます。ゴット・ファーザーほどの風格までは醸し出せなかったものの、スコセッシテイストにもならず、ベン・アフレックらしい味わい>>続きを読む

エルミタージュ美術館 美を守る宮殿(2014年製作の映画)

3.0

ロシア人の芸術に対する気概、精神性に敬服させられ、また畏敬させられるドキュメンタリー。エカテリーナ2世の桁外れの美術品蒐集から始まり、革命、戦乱を経て今に至る美をめぐる格闘を知り、一度は行ってみなけれ>>続きを読む

たたら侍(2017年製作の映画)

2.5

たたら製鉄が、きわめて忠実に描かれています。奥出雲の神々しい風景も美しい。しかし物語は、残念ながら消化不良。殺陣のシーンには緊迫感漂うものの、作劇としての説得力が希薄。島根の映画だから、佐野史郎もなの>>続きを読む

家族はつらいよ2(2017年製作の映画)

3.5

無縁社会という社会性が盛り込まれ、映画としての格が上がり、山田洋次監督らしいメッセージ性が色濃く出た仕上がり。前作をはるかに上回る一本ではありますが、これを喜劇というのか、印象は複雑です。シリーズ化、>>続きを読む

グレートウォール(2016年製作の映画)

3.0

息継ぎしたら終わり、って感じだったので、スピード感、圧倒感は堪能しました。将軍役の女優さん、綺麗でした。マット・デイモンだけじゃなく、アンディ・ラウも出てたんですね。チャン・イーモウらしい一本です。マ>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.0

声高には語らない。しかし胸深く突き刺さり、観ているあいだずっと揺さぶられ、熟考させられる佳品。オスカー主演男優賞、脚本賞、納得。ファンタジーや大仕掛け、スピード感、もちろん大事だけど、説明をあえてせず>>続きを読む

3月のライオン 後編(2017年製作の映画)

4.0

後編の公開を待って、前編から同日通し鑑賞。それでも全く飽きさせることなく、盤上の緊迫感も見事に映像化されて堪能。主人公と、彼を取り巻く人物たちの造形が分かりやすく、キャスト全員が好演。散りばめられたエ>>続きを読む

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)

3.5

説得力を持たせるためには前・後編、やむなしか。原作未読ながら、先を急がぬ展開に、観るも者の奥深くへと語りかけてくる上質な仕上がり。大友啓史監督の手堅い手腕に納得。

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

4.0

20年目にしてダニー・ボイル監督が届けてくれた感服の続編。これこそ映画、と称したい素晴らしい仕上がり。スピード感溢れる映像。エネルギーに満ちながら、抒情的。同い年のボイル監督の、意図が深い親和性をもっ>>続きを読む

美女と野獣(2017年製作の映画)

4.0

何度も観たくなる王道ミュージカル。アラン・メンケンの楽曲、すべて聞き応えがあり、すでに劇団四季の舞台で了解済みながら、舞台をはるかに上回る感嘆の仕上がり。ベルに扮した主演のエマ・ワトソン、大健闘。出色>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

3.5

重く厳しい作品。紛れもなく、今そこにある、しかも普遍性を有した現実を、静かに、かつ痛烈に描いて、大きな問題を突きつけるケン・ローチ監督にただただ感服。日本にいま最も必要とされる、説得力と品位に満ちたス>>続きを読む

はじまりへの旅(2016年製作の映画)

4.0

今という日本を生きる若い人たちに是非とも観て欲しい一本。学ぶとは何か、生きるとはどういうことなのかを深いところで考えさせてくれる。寓話的な生活と実社会とが、どう屹立しあい、妥協し、融和するには何が必要>>続きを読む

LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

3.5

なぜ迷子になったのか。どのように育ち、生母へと向かう契機はなんだたのか。それら関心事が淡々と、丁寧に描かれ、観ながら自分自身への内側へもいざなわれる佳品。実話の重さなのかな、タイトルを説明し、リアルを>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

3.0

苦しい映画だった。黒人であること、母が娼婦であること、ゲイであること、少年院に送られ、前科者として世過ぎをしなければならないことetc. 過酷と言って受け止めるだけではすまされないひとつひとつが、辛>>続きを読む

SING/シング(2016年製作の映画)

4.0

字幕版で鑑賞。スピード感があり、御都合主義のストーリーも気にならない。楽曲のパフォーマンスすべて素晴らしくウットリするばかり。大きな画面、良い音響で観るべき佳品。IMAX3Dで、高いお金を払っても損は>>続きを読む

家族の肖像(1974年製作の映画)

5.0

10年前に映画のレビューを開始した時から、あなたのベスト1は問われた場合には『家族の肖像』と応えている。岩波ホールで先月から上映が始まったデジタル完全修復版を観ながら、自分にとって何故本作が重い存在で>>続きを読む