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オッペンハイマーのkamakurahのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
オスカー7部門受賞の話題作を劇場鑑賞。3時間の長尺を飽きさせず、緊張感を維持して観せるあたりは、さすが。難解の評判先行ながら、クリストファー・ノーラン監督らしい仕上がり。映画らしい映画で、見応え十分だが、深い抒情味や感動はない。原爆の父、オッペンハイマーをめぐるドキュメンタリー伝記映画というべき結構。観客へのサービスか、冒頭で本作2部構成と丁寧に字幕提示があり、かつ、カラーとモノクロで時間軸の重層構造が鮮明。キチンと受け止めれば、主題も仕掛けも実に分かりやすく、物理や歴史に関する前知識があるとより深く楽しめるはず。IMAXで鑑賞するとノーラン監督の意気込みがより明瞭に享受できるようだが、今回は安価鑑賞を選択した。
被爆県出身の時の首相が、本作にある通りの原爆を開発し投下し、政治問題化させたアメリカに、正気かと驚愕するばかりの追従姿勢で軍拡邁進する現況下、日本での公開がひどく遅くなった国の事情、感情を重ねると、本作への評価については様々に逡巡させられるものがある。純粋素朴に、いち映画作品として判定できないことを諒とされたい。
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