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マエストロ:その音楽と愛とのkamakurahのレビュー・感想・評価

3.5
バーンスタインの伝記映画と聞いて、すぐにも映画館へと調べていたら3週間もしないうちに勧進元のNetflixが配信すると知ってそのままにしているうちにオスカーノミネート、となりこのタイミングでの配信鑑賞。レニーファンとしては恥ずかしい。
中学生になって当時流行っていた4チャンネルステレオを買い与えてもらって最初に買い揃え始めたのがバーンスタインだった。何故レニーだったかと言えば『ウエスト・サイド・ストーリー』への感激が大きい。中2の時の大阪万博では、バーンスタインもカラヤンも来日公演があって何度両親に鑑賞をねだったかことだったか。結局大阪嫌いの江戸っ子両親はぼくの大阪行きを許してくれず、その後カラヤンのライブは東京で聴く機会を得たが、レニーの実演にはついに接すること果たせなかった。そのようにただずっと憧れ続けるばかりの存在で、本作に描かれた性的嗜好など全く知る由もなかった。愛妻家、家族想いとばかり勝手に思い込んでいた。フェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインに扮したキャリー・マリガンが愛おしく哀しくてならなかった。監督、脚本、主演のブラッドリー・クーパーには終始圧倒されるばかり。なんでも出来る人なんだなぁ。容貌そっくり。メイクアップ&ヘアスタイリング賞の辻一弘さん3度目のオスカーかな。音楽は全編、バーンスタインのドイツグラムフォン盤使用。ふたりが和解するイギリスのエリー大聖堂でのマーラー2番復活の指揮ぶりはDVDに遺された映像そのままで圧倒される。しかしながら先年のケイト・ブランシェットの『TAR』ほどの緊迫感はなく、伝記ものとしても、バーンスタインのゴシップネタの暴露に終始して物語の仕上がりとしてはもうひとつ。もう少し嬉しい気持ちを感受できる脚本にして欲しかった。
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