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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのinotomoのレビュー・感想・評価

3.9
アメリカでコインランドリーを経営している中国人のエヴリン。頼りない夫、なかなか思い通りにならない娘、高齢の父親と暮らしているが、生活は苦しいばかりで、悩みは尽きない。ある日、納税のための監査を受けに行った時に、突然夫が、「自分は別の宇宙からやってきた」と言い出し、エヴリンに助けを求める。エヴリンは訳もわからないまま、別人になった夫と共に、マルチバースと現実を行き来し、宇宙を危機に陥れる悪の象徴と戦うことになる。

今年のアカデミー賞に多数部門でノミネートされていて、作品賞の有力候補である話題作。一口に言えば、マルチバースカンフーSFアクションコメディと言った、まさにカオスな作品で、細かな世界線を理解しようとすると、難解かもしれない。ただ、難しいことは考えず、ただこの作品の独特の世界に身を委ねて、楽しめばいいのだと思う。突拍子もなく、想像の斜め上を行く映像や展開や想定に、監督の演出と脚本の素晴らしさを感じるけど、間違いなく今まで経験したことない映画体験であるのは確か。100%その世界観と作品を楽しめたかというと微妙だけど、見る価値はあると思う。ラストのちょっとホロリとさせられる展開も良かった。
それから、手がソーセージになる世界のアイデアが、あまりに馬鹿馬鹿しくて笑えた。

主要キャストはみんなオスカーノミネートされていて、好演。グーニーズ世代としては、エヴリンの夫を演じたキー・ホイ・クァンの復活は嬉しい。二重人格のようなキャラクターを見事に演じていてすごく良かったし、オスカーに王手をかけた感じ。税金の監査官を演じたジェイミー・リー・カーティスが昔から好きなので、ぜひオスカーをあげたいところだけど、エヴリンの娘のジョイを演じたステファニー・スーがめちゃくちゃ良かったので、オスカーの行方は想像つかない。エヴリン役は、カンフーアクションが出来ないとダメなので、ミシェル・ヨーはまさにハマり役。生活苦でくたびれた様子から、ゴージャスな姿まで違和感なく演じていて、きっとこちらもオスカーを獲るのではないかと思う。

好き嫌いはあると思うし、あの世界観にハマれないと退屈かもしれないけど、私は楽しめました。続編とかあるかなぁ。
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