hitgai

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのhitgaiのレビュー・感想・評価

3.9
いわゆる、「選ばれし者が世界の危機を救う」というよくある構図の映画だが、今までのそれとは一線を画す新しい映画が誕生。

マルチバース=並行宇宙にカオス(混沌)をもたらすというスケールの大きな複雑な要素がありつつ、観客が身近な物語として受け容れるのは、それが"家族“の物語であるからだろう。

世界を救う使命を背負うことになった中国系の中年女性が、頼りない夫や頑固な父、反抗期の娘ら家族との間に抱える問題と、向き合うことになる。

"多様性"というテーマに対する、一定の答えを見出し、さらにエンターテイメント要素をふんだんに取り入れて描いたことが、米アカデミー賞を総なめにした所以だろう。

夫が発する「己を見失った時ほど、人に対して優しくあろう」という意の台詞が印象に残っている。
優しい気持ちに包まれる映画だった。
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