このレビューはネタバレを含みます
原作ファンにとっては、非の打ち所がない完璧な映画ではないか。
画力やアニメーション、音楽が『SLUM DANK』の世界観に没入させてくれ、時間を忘れて夢中になって観てしまった。
特にモーションピクチャーを活用した試合シーンは、今まで観たスポーツアニメの中で1番リアリティがあり、スポーツアニメの常識を覆す完成度。
映画の内容は、リョータが"兄の代わり“という殻を破る成長物語と、家族の失意と再生を軸に、湘北メンバー各々のドラマや沢北を中心とした山王の物語まで盛り込みながら、試合終了というフィナーレへ収束していく。その物語の展開と構成も一切の無駄がなく、まとまりを失うこともなかった。
ラストの沢北とリョータのシーンも印象的。
今では、NBAで活躍する日本人も出ているが、連載中はバスケの本場アメリカで日本人が活躍するのは夢のまた夢の話だったかと思う。そういった時代に『SLUM DANK』を描いていた井上先生の想いが込められたシーンのように感じた。