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テオレマ 4Kスキャン版のcardamonのレビュー・感想・評価

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)
3.3
パゾリーニ作品は幾つか観ているが、観念的で解り難い作品の一つだと思う。監督自身の共産主義思想に基づくものなのだろうか。テレンス・スタンプ演じる美青年(プロレタリアの象徴?)の出現と別離により、ブルジョワ家庭が崩壊して行く様が描かれる。家族各々の行動は全く異なるが、それまでの価値観が180度転換して行く過程が、独特の作風と映像で語られる。その中で、工場主である父親の行動が最も理解しやすいと感じた。

かれこれ55年位前の作品だが、美術や衣装面でも注目。無機的なインテリアは現代的であり、シルヴァーナ・マンガーノの着用する服のデザインも素敵。それから、家を出た使用人が行き着く先の村の子供達の服の色遣いが可愛い。

音楽はエンニオ・モリコーネ。昨年観た「モリコーネ 映画が愛した音楽家」で初めて知ったが、パゾリーニとは親交が長く、音楽は全て手掛けたとの事。ちなみに「ソドムの市」は、全く映像を見ずに作曲したという話が興味深かった。
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