新海誠監督登壇のティーチイン回を鑑賞。
監督は過去作でも〜年に1度の大災害をメタファーとして作品作りをしていますが、本作でも公式サイトにあるように大震災と、それを防ごうとする青年と少女の冒険談として物語は構成されています。
いつもながらユーモア溢れる演出と絶妙な男女の距離感、ハラハラドキドキの展開に2時間超えを忘れてしまうぐらい没入できました。
アニヲタの友人からメインの声優陣が酷いと聞いていたのですが、確かに感情を乗せきれていない台詞などありつつも、ハードル下げていたおかげで途中からは慣れて気にならず。
私が新海作品を好きな理由は、映像や音楽の良さ、スピリチュアルな要素を織り交ぜたストーリーは勿論なんですが、やはり1番は男女の関係なんですよね。
己の愛に対して真っ直ぐなエゴイストぶり。
最近は博愛主義的な意見がまともで、嫌いでも好きと言わなければいけない空気があったり、周りに迷惑をかけたり自己中的な愛だと、それこそ顔の見えないネットの住人達から袋叩きにあってしまったりと、思っていても言いづらい不自由な世の中になってる気がするんです。
そんな中で前作『天気の子』でもそうでしたが、周りを巻き込んで迷惑掛けたって、世界がどうなったって好きな人を守りたいんだという主人公の愛に対しての潔いエゴイストぶり。そこが私は大好きです。
少し話は逸れますが、先日まで行われていた東京国際映画祭のコンペ部門にノミネートされていた松永大司監督の『エゴイスト』でも、他人の評価なんかどうでも良くて自分が良いと思ったモノに好きなだけ愛情を注げばいいんじゃないかと、他人がどうこう言いすぎなんじゃないかと、そのような意味合いの事を松永監督が仰っていたと記憶しています。
ストーカーとか法に触れる事はダメですけどね。あくまで当事者達が良しとすれば。
今回の『すずめの戸締り』でもそういった愛に対してのエゴイストな部分が見れて取れたので素晴らしいなと感じました。
その他、作品の重要な要素になっている災いをもたらす扉や猫については、鑑賞した方に色々と考察してもらえばいいかなといった感じです。
上映後の新海誠監督によるティーチインでは、会場からの質問に対して真摯に答える監督の姿がとても印象的でした。
東日本大震災を経験している分、冷静に観てもらう為にも時間を空ける必要があったようです。