むー

すずめの戸締まりのむーのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0
いい映画でした。
あちらの世界との扉を閉めていくというロードムービーでもありながら、主人公自身の亡くなったお母さんとのロードムービーでもあったように思う。
また今までの中で一番神道っぽかった。岩戸すずめちゃんが常世との扉をしめ、宗像さんが祝詞のような言葉を言いながらその土地の神さまや先祖を鎮めていくという。
そうやって私たちは自然への畏怖の念を民族的に感じていると思う。

そんな難しいことよりも、環さんが終盤で今まですずめちゃんを育ててきたことで実はこんなこと思っていたって口をついて出てくるところ、本当に胸が痛くて辛かったし、そのあとに環さんがそんなこと確かに胸の内に思っていたけど、それが全部じゃないんだよ、ちゃんとすずめちゃんを我が子のように愛して育ててきたんだよってところくらいからもう肩ワナワナ震わせるほど泣いてしまった。
亡くなった親のことはいつまでも付きまとうし悲しい喪失感が残るし追いかける。心が元気になったとかなんて他人にはわからない。だから今のすずめちゃんがあの時のすずめちゃんの孤独な思いも全て抱きしめてあげたのがもう号泣だった。

最後草太さんの「土地には人の想いが鎮まっている」みたいなセリフがあったと思うんだけど、本当にそうなんだよね。自然があって人々が暮らしいていて、それが長い歴史になっている。想いが魂になって紡いでいく。災害やさまざまな理由で人が住まなくなった場所には時が止まっただけでなく鎮まった想いが第六感みたいなところで感じるからまるで「常世」のように感じるのかもしれない。
むー

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