このレビューはネタバレを含みます
新海誠監督の。
同氏による「君の名は。」以降の長編アニメーションのクオリティの高さは他のアニメーション監督と比べても抜きん出ている。
ただ個人的な印象としては本作は「君の名は。」や「天気の子」よりはやや劣るかなと思った。テーマがちょっと散らかってるような気がした。
舞台は現代日本。宮崎の女子高生すずめがすれ違ったイケメンを追いかけ、そこで見つけた扉を開け、猫を引き抜くも、それがヤバいやつ(震災)の封印を解くことだったらしく、閉じ師のイケメン(ほぼコッシー)と再び封印を施すまでの冒険譚。ほぼ自分で種を撒いて自分でふりだしに戻す話。
構造としては「君の名は。」から続くセカイ系の流れ。登場人物は少なく、すずめの叔母、愛媛の高校生、神戸のスナックのママ、コッシーの友達の芹澤くらいしか出てこない。
起きてることはめっちゃ大規模なのに、誰にも見えず、未然に防ぐことが仕事なので、一般人は何も影響を受けないというのが「天気の子」とは違うところ。前作以上に孤独な戦いと言って良い。
ミミズを封印するとこはエヴァの使途を倒したときに似てる。
作中で日本縦断するが、随所で人の優しさは描かれている。この道中をコミカルに描き、所々でミミズを封印するところはスリルを出している。
すずめとコッシーの旅もかわいいし、芹澤もおもしろかったね。
ダイジンが何したかったのかよくわからなかったのが引っ掛かった。イケメンを排除し、要石にしたのに、イケメンを助けるための手助けもしてくれたのは何だったのか。叔母さんにサダイジンが乗り移ったみたいなシーンは何だったのか。サダイジンって誰が抜いたの?勝手に抜けたの?てか他に閉じ師っていないの?そもそもミミズって何?怨念みたいなもの?。そんな危険なもの公に何故管理せんのか。あと、3.11のときって閉じ師がしくじったってこと?などなど気になる点はたくさんある。
あれだけの関東大震災を引き起こそうとしてたのにイスと女子高生しか戦えないってのはシステムとして脆弱ではないか。セカイ系にするにしてもややミニマムにしすぎではないかと思った。
もうちょっと他の閉じ師とかが登場して共闘するとかあれば熱かったなと思う。
イケメンとのラブストーリー、叔母との確執の乗り越え、震災阻止、最終的に3.11に結びつけ、母が死んで常夜に迷い込んだ過去の自分を自分で救うSF要素、ダイジンとの絆など要素が多くて、繋がりも薄いのでテーマがぶれてるように感じたのかも知れない。もっと伏線が繋がったら最高だった。
例えばダイジンは実は閉じ師だったお母さんで3.11のときに要石になりました、とかそういうベタなやつでいいんですよ。
相変わらず、音楽と映像はピカ一でした。