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すずめの戸締まりのkoのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

これは傑作と言わざるを得ない感じがしてる。
震災をファンタジーとして描いているあたり、もちろん手放しでは讃えられないですが!!!!!!!

アイデアも映像技術も出し惜しみゼロの、新海誠集大成。

“”””行ってきます””””
二度と帰ってこない怒涛の「行ってきます」たちが辛くて辛くて、、この映画のハイライトです。

本作の素晴らしいところが、日本全国(九州四国関西東京東北)を巡ってそこに暮らす人々の日常を描いたことです!!!!!私は暮らしを描かれるのが大好きだ!!!!この作品が描く日常はあまりにも日常であまりにも輝いている!!!!!!
ファンタジーとか恋愛要素とかには全くと言っていいほど興味がないし、その辺りのストーリーはお粗末なのに、本作に夢中になった理由がこれです。

忘れられた頃に扉が開くのは、震災は忘れたころにやってくるということだろう。
私たちが普段忘れてる日本全国にある生命・日常の価値を、震災という視点を持って実感させる映画だった。「おかえり」=無事に帰ってくることの価値を。
この決して忘れてはならない体験を、映画体験として追体験・初体験させるの意義は大きい。やけにリアルな映像が日常と震災どちらもの解像度を上げてて圧巻、、効きすぎた。

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印象的だったのが、あまりにも日本人に向けられた映画だったこと。海外は全く意識してなくて、日本の国民的映画になることを狙ってると思う。
日本の震災、日本のアラート音、日本全国の暮らし(九州四国東京東北)、日本語の威力(「行ってきます」)、ジブリオマージュ(耳すま、魔女宅、もののけ?ハウル?千と千尋?)。日本ならではの繊細すぎるほどに繊細な作画。
日本人に響きすぎるほど響く映画であり、また海外作品では描くことができない映画だった。
特に「3がつ11にち」の文字が私たちにとってのみショッキングすぎる。

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・耳すま→ツイート
 魔女宅→『ルージュの伝言』
 もののけ姫→みみずがタタリ神?
 ハウル?→そうたのビジュがハウル?
 千と千尋?→サダイジンに掴まるすずめがハクに掴まる千尋に見える

・たまきさんとすずめがお互いにボロボロに言ってしまった後、全てを否定するわけじゃなくて、「あれだけやないけんね」「ぜんぜん、あれだけやないけんね」((ニュアンス))と言ったの最高すぎてもう私はこの映画が大好き。

・そうたさんとかダイジン(声がcute)とかはしょーみどうでもいい

・主題歌RADWINPS「すずめfeat.十明」魔曲すぎる、、、、、、、、

・懐メロは過去を思い出すことのメタファーかな?

・常世の母みたいな人が自分だったところ、アズカバンのハリーポッターがチラつきすぎた。

・日本全国巡り=そこに暮らす人々と、彼らの日常の暮らしを感じること、確かめること、想うこと。もしかしたらここに突然震災が起きて、壊されて、それもいずれ忘れ去られるかもしれない恐怖。今ある日常の価値。

・伊藤沙莉ってほんと最高。原菜乃華が上手い!!!!!! 深津絵里!!!!!!!!!!

・「生きるか死ぬかなんてただの運」と言って簡単に命を投げ出すすずめは、懸命に生に手を伸ばすようになる。
母の死にも、常世に行くまでまともに向き合ってこなかったのかな。

・おばさんの心配も無視して家を開け続けたすずめが、「おかえり」の価値を認識して大事に大事に言うラスト。

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鑑賞から約2ヶ月経ったいま、この批評読んでから本作の見え方がとても変わった。くらいました。

文學界2023年1月号
(批評)新海誠と「国民の物語」――『すずめの戸締まり』と七〇年代
 
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