K2

すずめの戸締まりのK2のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0
近所の廃墟で別世界に繋がる不思議な扉を見つけた鈴芽。思いがけず“災い”の封印を解いてしまった彼女は、“閉じ師”の青年、草太と日本を横断する封印の旅に出ることになる──


注意:前情報をほとんど持たず観たが、地震(特に東日本大震災)が非常に大きな要素として出てくる。なので平常心で観れない人もいると思う。


さて。今作はどこを舞台にするのかと思ったら、宮崎県スタートで四国、近畿、おなじみ関東と北上し、どんどん舞台が変わっていった。エンドロールを見るに、いろんな形で47都道府県の要素が散りばめられていた? それを探すのも楽しいかも。

ロードムービーチックに、少しファンタジーも混じりながら旅が展開される。鈴芽にはあまり感情移入できなかったが、後述のラストシーン(ネタバレ)が個人的にとても良かったので評価したい。

あと芹澤がいいキャラしてて大好き。友達になりたい。金は借りない(貸さない)けどw


総評:設定が設定だけに勧めにくい場合もあるが、劇場で観て損のない1本。










以下ネタバレあり。










地震が地中ではなく上空からの叩きつけで起きるという解釈が面白い。絵面がわかりやすいし迫力も出る。

ただ、“閉じ師”の仕事はどう考えても草太と爺ちゃんだけでやれるわけないし、少ないながら給料?が出ている以上、国の上層部とかには把握されていそうなのに、他の閉じ師の存在が出てこないのはよくわからない。廃れかけていてもう他にいないとかならともかく。

しかし椅子にされた草太のアクションが劇場版コナンばりに激しいw 椅子の体になってしかも3本脚なのに適応力ありすぎw

でも「寝起きが悪い」のではなく「自意識が消えかけている」とわかった時は恐怖を感じた。鈴芽に何度も起こされなかったら序盤でただの要石になっていた可能性すらある?

あと、他はともかく鈴芽、ダイジン、サダイジンの行動理由がよくわからない。

鈴芽:ダイジン(西日本の封印)を解放しちゃう→草太を元に戻すために旅に出る→草太を西日本の要石として刺す→やっぱり嫌だから草太を解放してダイジンで再封印

ダイジン:鈴芽に解放してもらって感謝→不安定になっている後ろ戸へ案内しながら人助け→草太が代わりの要石になってやっと鈴芽と一緒にいれると思ったら拒絶される→でもやっぱり一緒にいたいから宮城県へ着いていく→草太の代わりに西日本の要石に戻る

サダイジン:西日本の封印が解けた影響で解放される?→ダイジンに協力して?鈴芽と叔母を決裂させようとする→結局東日本の要石に戻る

こうして書いてみると、「ウチの猫になる?」とか言いながら結局草太を取り戻すためにダイジンを犠牲にしている鈴芽が一番身勝手に見えて応援できないんだよなぁ。

草太のいない世界が怖い→自分が要石になろうとする→鈴芽のことが大好きなダイジンが結局要石に戻る、なら納得できた気がする。

「死ぬのなんて怖くない」「生きるか死ぬかなんてただの運」と即答していたくらいだし。(それはそれとしてこのセリフは震災の影響と恐怖を間接的に感じれて良かった)

あと鈴芽にはところどころ感謝の示し方が足りなかった気がするのも、素直に応援できなかったひとつの要因かもしれない。


まぁ、いろいろ文句も書いたけど最後のシーンがとても良かった。

鈴芽の扉を閉めてからの

「行ってきます」

ここで「行ってきます」を言わせる脚本が天才すぎて鳥肌が立った。終わりではなく始まりで、これからも続いていくことを示す、この上ない締め方だったと思う。これだけで0.5点くらい評価を上げた。
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