てながあしなが

すずめの戸締まりのてながあしながのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

戸(扉)がモチーフの映画。鍵を開けて戸を開く描写や、天災前の日常シーンの描写として戸を開けて家を発つ描写が強調される。
主人公の苗字が岩戸であることからわかるように、バックには日本神話がある(ラストにはアマテラスっぽい服になる)。この神話で戸は「死者と現世をつなぐ場所」を意味し、天岩戸を閉じたことで死者と生者の往来ができなくなった。この作品のテーマ性は明確で、主人公の岩戸鈴芽が幼い頃に喪った母との超克が描かれる。
震災に限らず、突然大切な人を喪った人の中には、いまだに死者の世界=故人の世界に生きている人がいる。だからこそ鈴芽は、生者の世界に生きている人たちから見ると不可解な行動(突然母が遺した椅子だけ抱えて家出し、何日も家に帰ってこないなど)をとる。物語の前半はずっと鈴芽は死者の世界にいて、現実世界の人間とまともなコミュニケーションを取れていない。それは鈴芽の死者性を強調したいからだと感じた。
ラストは新海誠らしいご都合主義的なラストに感じて、個人的にはソウタが還ってくるのはアリかよという気もしたが、演出のうまさでやられた。
少し気になったのは、鬼滅の刃にも感じた「それも主人公に説明させるの?」ということ。「ダイジンは、私を戸の場所まで導いてくれていたのね」ってセリフは説明過多なような。
あと、曲がええ。十明さん、うたうまっ。