てながあしなが

怪物のてながあしながのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

しんどい。坂元裕二作品は『花束〜』しか見てなかったが、完全に腕を見誤っていた。
明らかに適性のなさそうに見える教員、シングルマザーの母、その息子の群像劇。そう思いきや、それぞれの視点から眺めると、全く違った物語になる。ってだけでも飽きさせないのだが、そこに時代性を帯びさせるのが坂元裕二の腕なのか。
キーは同性愛。主人公はいじめられっ子の星川くんと心を通わせていくうちに、自身のうちなる心に気づく。しかしそれは、母が何気なく口にする「普通の家庭を築いてくれればいい」という言葉と大きく矛盾していた。だからこそ、怪演光る安藤サクラにさえ、最後まで心の裡を打ち明けなかった。いくら向こうに歩み寄ろうとも、それゆえに相手は余計に態度を硬化させるわけで、要はこの物語はマイクロアグレッションの物語なのだと思う。
星川くん演技力ヤバすぎる。すさまじい作品だ…

あと、映像美も評価したい。あのロケ地巡礼したくなったもの。草原を走るふたりの神々しさよ。