作品を構成している個々のパーツはどれも好みだった。伝承、廃墟、災害、記憶。
特に人知を超えた存在の描き方が好き。民俗学ホラーとかクトゥルフとか、その手の作品を作って欲しいくらい。
明らかに人の手に負えない、どうしようもない馬鹿でかい力を目の前にしている感覚が良かったので、最後に人の手でどうにかなってしまったのが無性に残念に思えた。そりゃ、お話としちゃなんとかなるだろうけども。
要石まわりの諸々も、ちょっと釈然としない。あの猫の不気味な雰囲気は嫌いじゃなかったんだが、最後はそうなってしまうのか。目的も意味もわからないくらいで良かったんだけどな。
話の転がし方は、あまり好きではなかった。所々に無理を感じる。方々で出会う人々の造形とかに。猫の足取りがSNSてのもなんだか。
主題歌が耳に残って気になっていた映画。「すずめ feat.十明」は出だしから中盤までの不穏さがとても好きで聴いていたが、終盤に近づくほどに好みから外れていってしまう感覚があった。この映画自体もそんな感じだった。