♪ 「あなたさえいれば」
「あなたさえいれば」
そのあとに続く言葉が
どれだけ恐ろしい姿をしても
愚息は友達と一緒に鑑賞済。
なのでネタバレに触れない程度の感想(主人公を好きになれない)を耳にして臨みました。
うん。確かに主人公は微妙でしたね。
後先を考えない行動は確実に子供。特に“扉”を見つけた場面なんか顕著です。小学生ならばいざ知らず、足が濡れることに少しは躊躇すると思うんですが…高校一年生ってもう少し大人ですよね。
あと、閉じ師の彼が椅子になる展開も微妙。
ちょっとキャラクター設定に“あざとさ”を感じちゃったんです。グッズ展開を視野に入れているな…と大人の事情が透けて見えたんですね。
だから、正直なところ。
なかなか物語に前のめりになれず。
センスあふれる彩色や、絶妙な背景の選択など、一般的なロードムービーとして冷静に捉えていたのです…が。
気付けば落涙している始末。
確かに新海誠監督は理想主義者だと思います。
その“青臭い”部分が賛否分かれる原因なんでしょうが、本作に限って言えば、その理想を“押し付けない”配慮を感じたのです(特に音楽の使い方)。
但し、それでも主張すべき部分は主張する。
そんな意志の強さは相変わらず。僕たちはもっと「丁寧に生きる」ことが大切だと、物語の端々から感じました。このギャップが良かったんですね。
ちなみにここからは少し余談ですが。
東日本大震災のあった日の東京における星の配置は「目覚め」を意味していると、ある占星術師が仰っていたんですが、僕はこの“解釈”にストンと納得したんですね。
多くの方が犠牲になった災厄。
それを目の当たりにして「生きる」ことに目覚めるべきだと…そう受け取ったんです(占星術は受け取り側の解釈が大切)。
まあ、そんなわけで。
日々の雑事に巻き込まれると心の奥に澱が溜まり、色々と雑になる…それが人間ですが、時折は素晴らしい作品に触れて背筋を伸ばすのが大切。本作はそんなときに相応しい作品だと思います。