こたつむり

カラオケ行こ!のこたつむりのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.6
♪ 紅に染まったこの俺を慰める奴はもういない

後から知りましたがマンガが原作だったんですね。納得です。全体的に“ゆるい”感じで、現実離れした雰囲気でしたからね。辣腕の脚本家、野木亜紀子さんが手がけているとは思えないほど。

でも、バランスは良いんです。
根底にあるのは、中学生特有の思春期の葛藤。我が家にも中二病満載の、めんどくさい、本当にめんどくさい年頃の男子がいるんで。他人事とは思えませんでした。

そして、そんな彼を演じた齋藤潤くんに拍手。
セリフではなく、表情と演出で心の動きを魅せてくれるんですよ。この辺りは監督さんの撮り方も良かったですね。あえて難を言うならば、画数多すぎな名前くらい(←失礼)。

あと、やっぱり芳根京子さんが素敵です。
正直なところ、ブレイクしていないのが不思議。まあ、世間の見る目がないのは前から分かっていた話ですけどね(←更に失礼)。

あ、でも。
物語としてはツッコミどころ満載でした。
「師匠、師匠」と言われるけど、大したアドバイスしていないじゃん!とか。そんなヤクザいるわけがない!とか。合唱部なのに音の取り方が違う!とか、色々とあります。が。ががが。

その辺りは、地味にスルーが吉。
というか、度量を求められる物語なんです。
虚構を虚構として楽しむ…これが映画で大切な姿勢。それを教えてくれる作品だと思うんですよ。

まあ、そんなわけで。
カラオケを題材にしているものの、その向こう側にあるのは、ほろ苦い青春物語。些末なことに囚われず、保護者目線で楽しむことをオススメします。

最後に余談として。
カラオケに行ったのはいつ以来だろう…?と我が身を振り返れば10年くらい行っていないことに気付きました。キーが低いので、どうしても選曲のところから肩が下がるんですよね。せめて、A4がフラットに出ると選択の幅が広がるんですが…。

困ったときは、布袋寅泰さん頼み。
もしくは、チイ兄ちゃん。あぁいだけはぁ、わすれたはずぅさぁ~♪
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