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すずめの戸締まりのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

天災を防ぐ旅に出る少女の話。

巨大なミミズが出てきたり、人間が椅子になったり、猫が喋ったりと、近年の新海作品の中でもファンタジー要素が強めな本作。
物語的にも、主人公が日本各地を旅していくロードムービー風の成長物語になっており、小さい子供…特に女の子が楽しめる作品になっている様に感じました。
ちなみに、映画の後半には親世代には嬉しい、懐メロコーナーも用意されていて、国民的映画となると、ホスピタリティのレベルが違うな~と思わされましたね。笑

個人的に良かったのは、意外と笑えるシーンがあった事。
環おばさんの長文LINEとか、椅子が子供のテーブルにされたり、オープンカーのルーフが直ったり。
あまり新海作品にコメディーのイメージはなかったので、なかなか新鮮でした。
そうしたギャグも含め、全体的に楽しい雰囲気で進んでいくし、旅先で出会う人達との交流にはホッコリさせられたりと、この辺はまぁ気楽に見れて良かったです。

ただ、後半になると、東日本大震災とリンクして話が重たくなってくるし、最終的にはいつもの新海作品らしいセカイ系な展開になっていくので、ちょっと辟易としちゃったかな。
流石にもう恋愛を絡めながら世界を救う話は見飽きてきた部分があるし、そもそも恋愛の要素も別に要らない気がするんですよ。
本作も当初は女性同士のバディものにする予定だったそうですが、個人的にはそっちを見たかったですね。

東日本大震災に対しては、人それぞれに想いやスタンスが違うと思うので、受け止め方も人それぞれでしょう。
個人的にはそこまで刺さるものは感じなかったのですが、それでも震災を思い出させる様な展開にはドキっとさせられたし、冷静に振り返ると、本作は震災の記憶を失った主人公が震災と向き合い、思い出す話にもなっていて。
この映画を見る度に、震災について考えたり、3.11を思い出すキッカケになれば良いし、それが監督の狙いでもあるのかなと。

実際にあった天災をエンタメ作品の中に組み込むのって、なかなか難しいと思うのですが、敢えて踏み込んでいく新海監督は、それこそ戸を締めに行く主人公達と同じ心境だったのかもしれません。
これが正解なのかは分かりませんが、一つの回答を提示した事は間違いないし、そうした難題にも立ち向かう新海監督の姿勢は信頼出来る部分だなと思うのです。
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