来世はおしるこ

すずめの戸締まりの来世はおしるこのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
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これが誰かの救いになっていたら、と思うとあんまり強く言えないなと後ろめたくなるけど、あまりにも浅はかな話だと思った

クライマックスに差し掛かるまで、登場人物の回想が少なすぎに感じた
キャラクターの背景が全く描かれずわがままで自分勝手なヒロインと謎多き青年というただそれだけになっている
青い空にきらめく海、田舎の親戚や友人に美味しそうなご飯、サマーウォーズからの系譜を散りばめれば許されると思ってそうですごく嫌、パッケージングが綺麗だったら人を騙せると思ってそう

ただ後半、「これまで語れなかったのはこのオチがあったからです」と言わんばかりの大義名分を掲げ出して、これは受け取れないと思った
2022年の制作らしい、11年で人は物語を紡ぐことなんてできない、そんな人の尊厳を弄ぶようなこと絶対にしてはいけないと思う
自然災害は誰かの手で止められた何かではないし、誰かの手で止められなかった何かでもない、命が奪われる残酷さをこれみよがしに人目に晒して、人がどんな気持ちでどんな風に努めてきたのか、1秒ずつ積み上げてきた絶対的な時間を蔑ろにするようなすることは許されないと思う
戸締りってなんだよ、鍵かけてしまい込むとか意味がわからない、向き合い続けるべきことじゃないのか

これを見せれば、語れば、出せば、許されると思ってる節がありすぎる、あまりにも浅はか(神木くんを使えばあんなキャラクターでも良いと思ってそう、やめてほしい、人の思い出をぐちゃぐちゃにし得る楽曲の使い方、何もかもが軽率すぎる)

しかしこの10数年しか経っていないこのタイミングであの震災に触れることは挑戦的な意味を持つのかもしれない
と思おうとしたところで配慮が足りてなさすぎることに変わりはないのである
当事者でもないくせに、とは自分でも思うけどあの時期を物心ついてから迎えたいち日本人としてわたしはそう思う
来世はおしるこ

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