“次の世代が受け継ぐべきもの”
数ある黒澤作品の中でも屈指の名作をリメイクすることがどれだけハードルが高いか
本作は『七人の侍』が『荒野の七人』にリメイクされたのとは全く違うアプローチ
時代背景や仔細なエピソードを含めプロットはほぼオリジナルに忠実でありながら、新たな視点を加えた上でそのハードルを見事にクリアしたリメイクのお手本とも言える作品だと思います
冒頭、スタンダードサイズで映し出される当時のロンドンの風景がとても印象的
そのシーンでこれから始まるのはオリジナルとは違う、もう一つの『生きる』だということを強く印象づけます
オリジナルより40分以上短い本作
それでも何かを端折ったという印象はあまり感じられずそのテーマに対する強いリスペクトを十分感じられました
おそらく言葉による説明を極力廃して、行間を観るものに想像させるカズオ・イシグロの見事な脚本ゆえかと…
なんと言ってもビル・ナイのその演技が素晴らしい
それは彼の演じる英国紳士があってこそ、もう一つの『生きる』が実現できたと思わせるほど
そしてオリジナルではあまり感じられず、本作で感じられた新たな視点とは、次の世代に強く焦点があてられていたこと
主人公が人生の終わりを前にして思い出したかつての思い、そしてその後の行動をしっかり受け止めた彼ら
二人の幸せそうなそのラストシーンに、オリジナル版には無かった明るい未来を感じ、爽やかな余韻に浸ることができました
p.s.
「本年度アカデミー賞最有力!」という東宝の自信満々のプロモーションがすごい😯
もちろん素晴らしい作品だということに間違いはありませんが…😅