トールキン

生きる LIVINGのトールキンのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.2
1950年代のイギリスが舞台ということで年代を感じさせてくれるレトロ調な撮影技法や凝った演出がめちゃくちゃ好みで冒頭から良い雰囲気が出ていた。
感想はと言うと思ったこと、思わされたことなど多々あるのでとりあえずなるべく簡潔に書きます。


人が生きるということ、生き方、生き様などは人によって様々であり何にしても好きに生きて良い。しかし何気無い日々を単調に過ごしていたり、仕事や日々の生活に追われて知らずにかつて思い描いていた人生とは異なっていたり、そしてそれが当たり前になっていく、生きていれば誰にでもそういう境遇があるはず。それでも何かがきっかけで生き方そのものを見つめ直す機会を迎える。自分が生きる中でやるべきこととは。大なり小なりであってもたとえ後世に名が残らなくとも、万人の目に映らなくとも、自分のため、人のため、世の中のため、自分の責務に真摯に向き合い取り組む姿勢。それはきっと周りにも良い影響を与え感化されていく。

とは言っても実生活でそれを取り入れるのは極めて難しいし、人間は目標や誓いを立てても大抵はやがて忘れて元の生活に戻ってしまう。しかしせめて思い出すくらいは心の片隅にでも常に留めて置きたいとは思う。それくらい個人的には熱いメッセージ性を感じることができた。

ラストカットは寂しさのような哀愁のような、でも良い意味でしんみりとさせてくれて心地良い余韻を感じることが出来た。
仕事であったり日々の生活であったり、何となく生きにくいなあと感じる時に己を奮い立たせてくれるかのような一作だと思う。
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