トールキン

ミッシングのトールキンのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.3
吉田恵輔監督作品なのである程度は予想してたけど予想以上に心のダメージがデカすぎた。最初から最後までずっと胸が苦しい。そこまで詳しくないからあんまり偉そうなこと言えないけど、この監督独特の間髪入れずに心にグサグサと刺さってくるかのような描写、それが良い意味で考えさせられ、我々現代人に警鐘を鳴らすかのようなテーマやメッセージ。それが今作でもたっぷり含まれているかのような内容で終始目が離せない。

誹謗中傷、イタズラ、嫌がらせ。やってる本人はほんの冗談、軽い気持ちでやってるのかもしれないけどそれが当事者にとってどれだけの結果に繋がるやら。ホントこの世の中から消えて無くなってほしいと願っても当たり前のようにこれからも横行し続けるんだろうね。ホントにいつからこんな世の中になってしまったのか。人が人を思いやる気持ちを完全に無くしてしまうと本当に世の中終わりな気がしてしまう。

娘を失ってしまった夫婦、彼らを助けるために彼らの実態を世に明かす記者、そして傍観者や中傷するような無関係な人たち。それぞれの視点から見れてそれぞれに感情移入出来るかのような展開。

記者の砂田を演じる中村倫也さん。己の信念や正義感を持ってして真実を公表しようとするがジャーナリズムとしての葛藤がとても伝わってきて見ていてとても歯がゆい気持ちになる。そんな業界で生きるには善人過ぎるってことなのかな。

そして、夫婦を演じる石原さとみさんと青木崇高さん。彼らの夫婦としてのバランス感がとても良かった。終始険悪なムードの中でも夫婦の絆を崩さなかったのは旦那さんの気遣いとかがあってこそだと思うし、そして石原さとみさんはもはや主演女優賞モノ。こんな石原さとみは見たことがない。なんなら良い意味でちょっと引く。そんな役を演じられる、そんなお芝居が出来る、役者ってすげーなって改めて思えた。
ずっと苦しい思いをしてきたこの2人だけど最後の最後にほんの少しだけ救われたと思う。自分たちの味方になってくれて理解してくれる人が1人でもいるとそれだけでもやっぱり違うよね。ラストのシーンで涙が溢れました。て言うかもらい泣きですね。
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