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エンパイア・オブ・ライトのyksijokiのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.3
どのシーンを切り取っても美しい。そして音楽が素晴らしい。音楽や映画館のことが好きな人なら絶対にどこかの琴線には触れるはず。観たあと映画館に行きたくなるはず。ポップコーンを買って上映までの待ち時間をゆったり過ごして、そういう幸せを感じられる作品。

ストーリーは確かによくある感じだしつじつま合わせに行ってるところは否めない。ツッコミどころも確かにある。でもこの時代のシネフィル、時代背景、そしてそこに生きる人々にスポットライトを当てた作品としての魅力は十分に伝わってきた。

映画を観たことがなくたって映画館に来る人たちとそこで過ごす時間をリスペクトすることは素晴らしいことだし、それは映画が大好きかどうかとはまた別のこと。その人の人生における映画の立ち位置はその人それぞれだし、それをとやかく言われる必要もない。

人種だって、恋愛だってそう。レッテルを貼られて何かを強いられる人生に囚われる必要はない。周りの目を気にしすぎるが故に苦しくなることもあるけれども、気にしすぎて抑圧されてしまうことは人として悲しいこと。

落ち込んだり、陰鬱になったときにふと映画を観ることでその2時間は何かを忘れられる。観た映画に少しだけ元気をもらえたりちょっと明るくなったりする。映画はそういう存在になりうるんだということをサム・メンデスはこの作品を通して言ってきているような気がしてそこに本当に共感した。

詩的で、ちょっとクサいけどそこが個人的には80年代映画のようで刺さったなぁ。

音楽が素晴らしかった。劇伴が物語に色を付けて行くような感覚だったし、劇中で取り扱われる楽曲やアーティストにもリスペクトを感じた。

映写技師のノーマンが仕事をするシーン。ここが何と言っても良かった。映写室という彼だけの秘密基地のような空間で彼の手元が映されるシーン。どこ切り取ってもカッコ良かった。


キャスト★4.2/5.0
ストーリー★4.0/5.0
演出★3.9/5.0
プロット★4.0/5.0
バイブス★4.3/5.0
音楽★4.5/5.0
映像★4.5/5.0
全体★4.3/5.0
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