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ノートルダム 炎の大聖堂のクズリのレビュー・感想・評価

ノートルダム 炎の大聖堂(2022年製作の映画)
3.3
ディザスタームービーかというとそうじゃない。だってほんとにあったことでそれ以上に盛ってるわけじゃないし。大災害を伝えるのを目的とはしていないと思うし。いろんな皮肉が詰め込まれた作品だと思った。でもなんだかんだで感動するレスキューもの好き。

テレビで放映するときに全編IMAX撮影って言われても…って思ってたけど、画角の広さを利用して画面分割して実際の当時の画像と合わせて表示させたり、同時進行の作業を見せたりと工夫多数で飽きさせない。
特定の宗教に属さないので、聖遺物が!とかいう気持ちは理解することはできない。燃える大聖堂を前にし、興奮を隠せない感じでスマホ撮影している人たちも私と同様か宗派が違うのだろう。でも「歌う」「祈る」のところはゲームのラスボス戦みある(不謹慎)。

詰め込まれた皮肉というのは、まず火災発生になかなか気づかない。通報があってもなかなか信用しない、ようやく消防車が出動するも狭い道に突っ込んで動けなくなる、渋滞に巻き込まれる、車も人も止まってくれないわの大混雑。これはめっちゃ観光地だからなのか。
建物に入って狭い狭い階段を上っていくも分厚い扉が施錠されてて屋根裏にいけないとか、放水しようにも途中の給水管もぼろぼろなので全然水圧があがらないとか、レスキュー活動が開始するまでのもたつきがリアルすぎる。開始しても困難しかないんだけど(いばらの冠のくだりとか脱力にもほどがある)、鍵管理人ぜんぜん優先されないとか、他人事なので呑気にツイートしているホワイトハウスのおっさんとか、これらを皮肉と言わずして。
よくこれで死者ゼロだったフランス凄い。

改修作業員が実際に作業中に喫煙していたとか(当然、火気厳禁エリアだが実際の火災の原因かどうかは不明)、屋根が鉛葺きであるために火災の際に溶け落ちて近隣住居にまき散らされた鉛の被害があるとか、後日判明したいろんな件も盛り込まれていて一種ドキュメンタリーのようでもある。
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